医療業界は工業用3Dプリンタの成長の源として最も有望な分野と長く考えられてきた。ひとりひとりに合わせるにはスキャンとプリントで正確に測定して対応する必要があるのだから、もっともなことだ。ことに歯科は、その推進に重要な役割を果たしている。倉庫のようなスペースいっぱいにプリンタを設置して、透明で取りはずし可能なマウスピース(アライナー)で歯列を矯正するインビザラインを手がけるとなれば、なおさらだ。
米国時間5月21日、デトロイトで開催されたRapid 2019カンファレンスで、SmileDirectClubはHPの工業用Multi Jet Fusionシステムに巨額の投資をしていることを発表した。49台のプリンタを使用するシステムは米国最大で、歯列矯正のモールドを24時間体制で大量に製作するという。
システムが完成して稼働すれば、1日に最大5万個のモールドを製作できる予定だ。計画通りなら、1年に1800万個以上を製作できる。HPによれば、SmileDirectの3Dプリンタ製造のおよそ99%をHPが担当しているという。今回の発表で、このテクノロジーへの投資は事実上2倍になっている。
このテクノロジーに興味を持つ人にとっては注目すべきスペースだ。長年にわたる実験と高い成果を経て、歯列矯正は3Dプリント技術の大規模で現実的な用途となっている。
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(翻訳:Kaori Koyama)