スペインのTelefónicaが2012年に買収したTokBoxは、ビデオチャットサービスの中では早くからWebRTC(Web Real-Time Communication API)を採用した企業の一つだが、今WebRTCは、プラグインが要らずブラウザ本体の中でビデオやオーディオのリアルタイム通信ができる技術として、標準規格の整備が急がれている。TokBoxは、今年初めにChromeで使えるようになったのに続き、今日(米国時間2/25)はMozillaのFirefoxにも対応した。ただしFirefoxの最終安定バージョンではなく、先進機能をテストしているバージョンであるAuroraとNightlyにおいてだ。そこでFirefoxのデベロッパたちはTokBoxのWebRTCバージョンであるOpenTokプラットホームを利用して、自分のアプリにビデオ通信機能、たとえばビデオチャットなどを実装できることになった。そのチャットは今や、iOSとChromeとFirefoxのユーザ間で可能だ。
WebRTCがFirefoxの先行リリースバージョンに載ったということは、安定リリースバージョンではバージョン21か22あたりでWebRTCがサポートされるのかもしれない(今はバージョン19)。
TokBoxのCEO Ian Smallの話では、同社がMozillaとの共同作業を開始したのは昨年の11月ごろだ。彼のチームはMozillaによるWebRTCの実装に初期段階からアクセスできることになり、実装の安定化に向けてのMozillaの努力につきあってきた。TokBoxのOpenTokプラットホームは、デベロッパがWebRTCのブラウザごとの実装の違いを気にする必要がなく、またビデオを大量のビューワにブロードキャストしたり、ビデオを録画するなど、ふつうのブラウザネイティブのWebRTCアプリケーションにはないようなサービスも提供している。OpenTokは、同社(TokBox)によれば、7万あまりの企業や団体が使っており、その中にはMajor League Baseball、Ford、Bridgestone、それにリモートプレゼンスを提供するスタートアップDouble Roboticsなどがいる。
Smallによると、“Firefox 21(近未来)とChrome 25(現在)の間で、安定的な相互運用性が得られるようになるだろう”、という。彼によると、WebRTC自身がまだ幼児期であり、ブラウザ内のネイティブバージョンを使って2人の人間のチャットは可能でも、グループチャットや録画は多くの実装がサポートしていない。またWebRTCの標準規格も、それらの機能ははサポートしていない。またTokBoxにおけるSmall自身のWebRTC体験に基づくと、その仕様はGoogleのVP8形式以外のビデオコーデックにも対応すべきだ。そしてまた、アプリケーションがユーザにより多くの帯域を許容できるために、帯域の割り当てをWebRTCの標準規格に(標準機能として)盛り込むべきだ、と彼は語った。
このように、課題や問題はいろいろあるけど、Small曰く、今年の後半はWebRTCがデベロッパ界隈で本格普及期に入る。今やモバイルでもデスクトップでも、主なブラウザがすべて、WebRTCをサポートしているのだから。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))