Twilioは今、同社のカンファレンスSignalのヨーロッパバージョンロンドンでやっている。その同社が今日(米国時間9/20) 、6月にIPOに成功して以来初めての買収を発表した。
ちょっと話はややこしいが、しばらく我慢を。Twilioが買収しようとしているのは、WebRTCによるプロプライエタリなメディアプロセシング技術で、それを開発したのは、オープンソースのWebRTCメディアサーバーKurentoを開発したチームだ。Twilioはそのチームを雇い、オープンソースでない技術をすべて買収するが、しかしオープンソースの方のプロジェクトを管理しているスペインのTikal Technologiesは、そのオープンソースプロジェクトとコミュニティの管理を今後も続ける。
Twilioがローンチしたのは2007年だが、買収は今回が二度目だ。最初のAuthyは、二要素認証などセキュリティサービスの企業だった。今日発表された買収は詳細が非公開だが、それほど巨額ではないだろう。
Twilio自身も今後マドリッドにオフィスを開き、Kurento Media Serverの技術を利用して大きなグループによる起呼や、コード変換、録音録画などのメディア処理機能をTwilio Programmable Videoに加えていく。
TwilioのCEOで協同ファウンダーのJeff Lawson(上図)は、今日の発表声明でこう述べている: “TwilioとKurentoのチームは、デベロッパーに強力なプラットホームと簡明なAPIを提供していくという共通のビジョンを共有している。デベロッパーの能力を増し、それによって通信の未来を切り拓いていく、というTwillioのミッションがまた一歩前進することになり、Kurentoを作ったチームの力を借りて弊社のビデオプラットホームをより多機能にしていけることを、大いに喜んでいる。それらを利用してデベロッパーたちが、どんなすばらしいプロジェクトを作るか、それが今から楽しみだ”。
同社によると、今後のKurentoのメンテナンスと改良に関しては、Tikalとも協働していく。
WebRTCのアナリティクス
WebRTC関連でもうひとつ: Twilioは今日、Voice Insightsのローンチを発表した。このサービスを使ってデベロッパーは、WebRTCで通信しているネットワークやデバイスのパフォーマンスをモニタできる。しかもそれだけではなく、得た情報に基づいて、それらへの対応アクションをプログラミングできる。たとえば発呼者の通信量が急に減ったら、そのユーザーに通知を送ってマイクロフォンが突然ミュートになってないか調べてもらう、など。ネットワークの問題はVoice Insightsのダッシュボードでチェックでき、集めたすべてのデータを利用して独自のアナリティクスを構築できる。
この新サービスはまだベータだが、料金は1起呼あたり0.4セントだ。
これによってTwilioは、Callstats.ioなどのスタートアップと競合することになる。同社は最近、300万ドルを調達して、独自のWebRTCモニタリングサービスを強化している。しかしすでにTwillioを使ってWebRTCのアプリケーションを運用しているデベロッパーは、Twilio自身のモニタリングツールを使うのが便利かもしれない。ひとつのダッシュボードで、通信のインフラストラクチャのすべてをモニタできるのだから。