ベンチャーファンドのUrban.usが今年新たに、1000万ドルのファンドを立ち上げて、今年いっぱい、われわれの都市生活の向上に貢献しようとするスタートアップたちに投資していくことになった。テーマは、都市内移動(mobility, 交通ほか)、ロジスティクス(logistics, 総合物流管理)、環境、ユーティリティ(電気、ガス、上下水道、など)、地方行政など、何でもよい。
今年いっぱいといっても、すでに一部の資金は、スマート(電脳)灌漑のRachioや、電気スケボーOneWheel(上図)のFutureMotion、IoTの冷暖房システムFlairなどに投じられている。
このほか、最初のファンド130万ドルは20社にほぼ同額が割り当てられる。今Urban.usのポートフォリオの中にはHandUp、BRCK、dash、Revivn、Skycatchなどがいる。投資対象企業は、シード前の段階からシリーズAまでの層だ。そして二度目のファンドは、それまでに成長した企業や、目に見えて公益に貢献した企業への追加投資になる。
Urban.usの協同ファウンダStonly Baptisteはこう語る: “気候変動への対応がこれからの社会の最大の課題になる。中でも、都市の構造や機構を効果的に変えていくことが重要だ。スタートアップはそれに貢献できる”。
つまり世界の都市は現在、国連の都市開発事業United Nations-Habitatによれば、温室効果ガスの約70%を排出している。2050年には都市の人口が今の倍になっていると予想されるので、都市の排ガス量も増える。そこでUrban.usは、5年以内に約100の都市の状況を急速かつ大規模に変えうると思われる技術に、投資しようとしている。
“世界を良くしよう、というこのファンドの方向性はあまりにも対象範囲が広いが、成否は犠牲の大きさにかかっている”、とBaptisteは述べる。“個人レベルでの考え方も、‘そのために自分は何を犠牲にできるか’になるからね”。
BaptisteがとくにOneWheelを気に入っているのも、自然にそれとなく公益に貢献しているからだ(例: 大きな4人乗り自動車に1人で乗らない)。OneWheelのメインの特長は楽しくて便利なことだが、結果的に公益に貢献する。多くの人が一人での都市内移動に、自動車に代えてこれを使えば、都市内の自動車交通量が減る。そして究極的には、都市のCO2排出量を減らす、とBaptisteは説く。
“従来の一般的な概念では、善行と利益追求は一致せず、社会的役割を担うことと人生を楽しむことは一致しない。この考え方を変えて、両者が一致することを人びとが理解できたら、それが最高だ”、と彼は語る。