WordPressのAutomatticが大枚$160Mを調達, いよいよ垂直市場ねらいで利益基盤を強化か

WordPress.comとオープンソースのWordpressプラットホームを抱えるAutomatticが今日(米国時間5/5)、Insight VenturesやTrue Ventures、Chris Sacca、Endurance、Tiger Global Management、IconiqなどからシリーズCで1億6000万ドルを調達した、と発表した

WordPressにとってこれは、ニュースとして取り上げる価値のある大金だ。資金調達そのものが前回の2008年以来久しぶりだし、しかもそのときの額は“わずか”1200万ドルだった。その理由としてAutomatticのCEOでファウンダのMatt Mullenwegは曰く、“今年の初めにCEOになったとき、WordPressの資金状況が実は切迫していることが分かった”。

彼は、“一年前には、‘WordPressは健全であり、利益をあげており、成長も順調だから、新たに資金を調達する必要はない、うちは資金的に厳しい状況ではない’、と思っていた”、が、しかし今では違う見方をしている。

WordPressはこのところ、何かの節目に達しているようだ。一部のデータによると、同社は世界の上位1000万のWebサイトの22%が使っている(本誌TechCrunchも)。 でも今のWordPressは、数年前の使いやすいブログプラットホームから大きく成長して、本格的なCMSだ。

でも最初からCMSとして設計されたソフトウェアではないから、難しい側面もある。そもそもこのような、青虫から蝶への変身は、ユーザサイドで、デザイナーやデベロッパたちがWordPressにいろんな機能を付け加えていって、自然に起きたことだ。たとえば商用化されているWordPressのテーマも、2年前と今では相当違う。WordPressはそうやって、ユーザパワーで成長してきたのだが、それに伴って次第に複雑なソフトウェアになってきた。今ではこのプラットホームの上で、単純なWebページも作れるし、ユーザ数何百万というプロフェッショナルな、雑誌のような出版物も運営できる。

そのため今のWordPressは、そのほかのブログプラットホームとではなく、小企業向けのWebサイト構築ツール(Squarespace、Wix、Weeblyなど)と競合しなければならない。お仲間だったブログプラットホームの方は、TumblrやTwitterのような、より単純なプラットホームが人気になったため、やや影が薄くなっているが、Webサイト構築サービスの方は今も資金調達を積極的に行っている。WordPressも最近徐々に、レストランやホテル、学校、ミュージシャンなど、専門分野のサポートを始めているが、まだそれほど本格的に力を入れてはいない。たとえばバックエンドの特化や、これら垂直市場をサポートするための機能の導入などはやっていない。まあ、やっているのはテーマの提供ぐらいだ(各分野向けのテーマを提供していたのだから、これらの専門分野を完全に無視していたわけでもない)。

テーマなどで努力はしていても、これら専門的なユースケースを新しい収益源に育てることは未着手だ。WordPress.comの中心的な機能は、今でも無料だ。自分のドメインネームが欲しかったり、大量の画像やビデオをアップロードしたり、CSSのコードを変えるなどの場合だけ、料金が発生する。

しかし今回の巨額な資金を、同社の新たな利益基盤の構築のために使うことができれば、WordPressの経営体質はこれまでになく頑健になり、それこそ今後当分は新たな外部資金などいらなくなるだろう。基本的なフリーミアム形式は今後も維持されるだろうが、このプラットホームのいろんなところに、本格的な収益化に結びつけられるものがたくさん転がっている。とくに今後重要なのは、さまざまな垂直市場だ。彼らにテーマを提供するだけなのは、もったいない。

Mullenwegは、競合他社に対する同社のアドバンテージが、オープンソースであることにある、と信じている(他社は多くがクローズドソース)。オープンソースだからこそ、プラグインやテーマなどでユーザ貢献の部分が大きく成長したのだ。しかしそれと同時に、これだけ多様なユーザ層を満足させなければならない、ということが同社の大きな負担になってきた。Re/CodeのインタビューでMullenwegは、先頭走者の位置をキープし続けるためには、“イノベーションの継続が何よりも重要、うちの市場はものすごく大きいのだから”、と言っている。

今回の大きな資金によってWordPressは、元々料金を払える体質を十分に持っている各種垂直市場(企業など)への働きかけを本格化し、そういう取り組みをやっていない競合他社(ブログプラットホーム~Web構築~CMS)を、大きく引き離すことができるだろう。

画像クレジット: Flickr/mkhmarketing; CC 2.0 licenseのライセンスによる。switch up

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


投稿者:

TechCrunch Japan

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