YouTubeは、VRを試してみたいと思いつつも、ハードウェアと制作上の課題にフルコミットすることを躊躇(ためら)うクリエイターたちのために、新しいファイルフォーマットの提供を始めた。これはVR180と呼ばれるもので、従来の球面ビデオの半分だけを提供するものだ。
それは単純な進化だが、従来のVR視聴者たちに新しい利点をもたらす、ある意味画期的妥協でもある。
最近のブログ記事でGoogleは、360度ビデオユーザーの75%が、ビデオ開始後は前方の四分弧(円周の4分の1)の部分しか見ていないことを話題として取り上げた。この原因の一部は、そもそも多くの人たちが、回転する椅子には座っていないことに起因するものだ。そしてそれ以外の原因としては、クリエイターたちが今だに360度カメラをどのように活かせば良いかを知らないということも挙げられる。周りを取り囲む雑多な情報にも関わらず、360度フォーマットはまだあまり探求されていないのだ。
要するに、360度ビデオはまだ生きていてサイト上で運用されており、YouTubeはそのサポートから離れる訳でもないが、このVR180フォーマットはクリエイターたちに、全面的なコミットをすることなく試行をすることを、やや容易にしてくれるものだ。VR180を使用することで、クリエイターたちはVRのコンテンツを作りつつも、伝統的なビデオ制作の技を駆使する自由も十分に手にすることができる。「クリエイターたちは制作技術を変える必要はありません」と、YouTubeの主任VRプロダクトマネージャーであるErin Teagueは語る。
クリエイターたちにとっての、新しいフォーマットの最大の特長は、CardboardやDaydreamのようなモバイルヘッドセットを使用しているユーザーたちに対して、通常のビデオに少々手を加えたようなコンテンツでも共有しやすくなるということだ。興味深いことに、YouTubeは、1月に発売されたPlayStation VRのYouTubeアプリでもビデオを見ることができるようにした。
VR180はライブストリーミングもサポートする。
球の半分を同じ4Kの解像度で表示するだけで、すべてが大幅にシャープになり、立体視による3Dが、単に物珍しいものから価値のあるものへと変化する。一方、アプリ内のビューは、一般に360度で見られるような、ピクセル的なウィンドウではなく、実際の視聴に耐え得るものになる。
この動きはYouTubeとGoogleのDaydreamモバイルVR部門の連携によるものだ。Daydreamは、LGやLenovoなどのカメラメーカーと協力して、コンパクトでデュアルレンズを持つコンパクトカメラサイズのデバイスで、VR180の保証を行おうとしている。こうしたカメラは今年の冬以降に発売が開始される。新しいカメラの登場を待ちきれないビデオロガー(vlogger:ヴロガー)たちのために、YouTubeはクリエイターたちが貸与を申し込むことのできるカメラを、何台か用意する予定だ。
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(翻訳:Sako)