ロシアがTwitterの通信速度を制限、その意図は?

政府が自らコントロールできないオンラインコンテンツに攻撃を加える最新の事例として、ロシアは、Twitter(ツイッター)の通信速度を絞っている。同国のRoskomnadzor(ロスコムナドゾ、通信・情報技術・電子メディア・出版の政策立案および規制監督の総合機関)は、禁止されたコンテンツを削除していないソーシャルメディアに対応する措置を取ったと、現地時間3月10日に発表した。3000以上の違法な投稿が放置されていることを確認したと主張し、サービス全体のブロックを実施する可能性もあると警告している。

しかしながら、ロシアにおけるTwitterの全モバイルとデスクトップユーザーの50%の通信速度を遅くするというこの通信規制当局による行動は、ロスコムナドゾル自身のウェブサイトもしばらくの間、ダウンさせてしまったようだ。

また、ロシア政府のウェブサイトも、kremlin.ruを含め影響を受けたという報告も、ソーシャルメディア上を駆け巡った。

本稿執筆時点では、これらのサイトにはアクセス可能だったが、先程はロスコムナドゾルのサイトにアクセスすることができなかった。

ロスコムナドゾルがブロックしようとしたウェブサイトの代わりに、自分自身をブロックしてしまったことはいうまでもありません(しかし、このツイートから明らかであるように、もちろんTwitterはロシアでオンラインです)。

この件については@CodaStoryに書きましたが、あれからほとんど変わっていないようです。

ディープパケット検査技術でTwitterがブロックされたため、ロシア全体のインターネットの質が低下する可能性があります: https://t.me/itsmymedia/2345

ロシア国家機関とTwitter間の対立は、獄中の野党指導者Alexei Navalny(アレクセイ・ナワリヌイ)氏を支持する反汚職デモ参加者を、ロシアが取り締まろうとした時から始まっている。ナワリヌイ氏は、この数週間、デモ隊に街頭へ出て政権への圧力を強めるよう呼びかけてきた。

ロスコムナドゾルの声明では、政治的な反対意見を検閲するために国家が行っていることについては何も言及しておらず、Twitterの速度を制限したのは、未成年者の自殺、児童ポルノ、薬物使用に関連するコンテンツを削除していないためだと主張。したがって、それは「ロシア市民を保護する」ための行動であるとも主張している。しかし、政治的な反対意見を黙らせようとする言論統制法の厳しい適用は、Putin(プーチン)政権下のロシアでは何も新しいことではない。

ロシアの政権は近年、外国のソーシャルメディアサービスから気に入らないコンテンツを削除しようと何度も試みてきた。時には今回のように、技術的な手段でアクセスを制限しようとすることもある。

最も悪名高いのは2018年、ロシアがメッセージングサービス「Telegram(テレグラム)」へのアクセスをブロックしようとした時のことだ。このブロックが何百万もの(Telegram関連以外の)IPアドレスをダウンさせてしまったため、他のサービスまでも混乱に陥れ、現地のインターネットに大規模な巻き添え被害をもたらした。

2018年にはまた、Facebook(フェイスブック)傘下のInstagram(インスタグラム)が、ロシアからナワリヌイ氏によって投稿されたコンテンツを削除するように要請され、応じたこともあった。このことは現在収監されているナワリヌイ氏のツイートで明らかにされた。

関連記事:ロシアの圧力でコンテンツを削除、Instagramは応じたがYouTubeは見合わせ

ナワリヌイ氏は、2021年2月に執行猶予つきの刑の条件に違反したとロシアが主張したことにより投獄され、現在は獄中にいるが、この著名なプーチン批判者は、彼の公式Twitterアカウントを、汚職を非難するためのメガホンとして使い続けており、2020年自身が毒殺未遂にあったこと(この件はロシアのFSBが関与している)に続き、現在も不正に勾留されていることを訴えている。

ナワリヌイ氏のアカウントから投稿された最近のツイートには、ドイツの新聞社Bild(ビルト)が、ロシア国営メディアであるRussia Today(ロシア・トゥデイ)のドイツ語チャンネル「RT DE」への調査を強めたことなどが含まれている。Bild紙は、ナワリヌイ氏とその仲間を標的にしたドイツ人によるスパイ行為を非難している(当時、ナワリヌイ氏は毒殺未遂事件から回復するため、ベルリンにあるドイツの病院に滞在していた)。

BILDはRT DEがどのようにスパイ活動に利用されたかを伝えています。

この物語には続編があるのでしょうか?いつまでRTはドイツ語の放送局としてライセンスを保持していられるでしょうか?

Twitterのアクセス速度を低下させることは、ロシアがこのプラットフォーム上におけるナワリヌイ氏の批判的な発言にフタをしようとするための1つの方法だ。同氏による最近の投稿には、ロシア市民の税金が2021年の冬、プーチンと彼の取り巻きによって、ヨット、ウイスキー、モルディブの休暇のために使われたと主張する動画のリツイートも含まれている。

ナワリヌイ氏のアカウントはまた、最近数時間の間にツイートしており、ロシア国家が彼を毒殺しようとしたことに続いて、彼を刑務所に入れたことを糾弾し「この状況は殺人未遂と呼ばれるものだ」と言っている。

このような状況は殺人未遂と呼ばれるものです。

ノボシビルスク裁判所のナバルニー氏の入院に関する判決を不服として提訴

本稿執筆時点では、Twitterはロスコムナゾルの措置について、コメントの求めに応じていない。

しかし、2021年2月にインドでも政府に対する抗議運動(この場合は、市場の規制緩和撤回を求める農民によるもの)に関して憂慮すべき事態が発生した。Twitterはインド政府の圧力に屈して、反政府デモに関連したアカウントを含む500のアカウントを停止したのだ。同社また、特定の抗議ハッシュタグの可視性を低下させることにも同意した。

関連記事:Twitterがインド当局のさらなる警告を受け500以上のアカウントを停止

【更新】Twitterから以下の声明が届いた。

当社では、ロシアにおいて、コンテンツ削除の懸念から、Twitterが意図的に広範囲かつ無差別に速度低下の措置を受けているとの報道を認識しています。しかし、ここで明確にしておきたいのは、私たちは児童の性的搾取については、ゼロ・トレランス・ポリシー(一切寛容しない方針)を掲げていることです。自殺や自傷行為を助長したり、美化したり、奨励したりすることはTwitterの規定に違反します。非合法な行為や薬物の売買を含む違法行為のためにTwitterを利用することは認めていません。私たちは、世界中で開かれたインターネットを擁護するために尽力しており、オンラインにおける公共の会話をブロックしたり制限したりする試みが増えていることに深い懸念を抱いています。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:ロシアTwitterSNS

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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