3Dデザインで10億通りのシャツが作れる「Original Stitch」が日本上陸

約10億パターンの組み合わせの中から、自分だけのシャツを注文できるシリコンバレー発のサービス「Original Stitch」(オリジナルスティッチ)が4月3日、日本で正式ローンチした。約180種類の生地を用意していて、袖、襟、ボタン、プリーツ、イニシャルの有無など、シャツの細部までカスタマイズすることが可能。同品質のシャツと比べて3〜4割安く買えるという。自分仕様のシャツを作りたい人だけでなく、「服を買いに行く服がない」となげく人にも持ってこいのサービスかもしれない。

操作画面の特徴は、実物に近い形でシャツを見られることだ。例えば、生地をマウスオーバーするだけで、その質感がわかるほどに画像が拡大される。

シャツをカスタマイズする際は、生地やスタイル、襟の形……と好きなパーツを選んでいく。独自の3Dデザインシステムによって、パーツを変えるたびにリアルタイムで完成予想のシャツが変わるので、直感的にデザインできるようになっている。

デザインしたシャツは正面からだけでなく、斜め前、後ろからも確認できる。納得がいかなければ各パーツを行ったり来たりして、心ゆくまでカスタマイズすることができる。

サイズは首まわりと裄丈を入力する。サイズがわからない場合、注文後にサイズの計測方法を記載したメールが届くが、最終的には自分あるいは同居人が採寸する必要がある。

品質面では「ヨーロッパ産の高級生地」を使用し、有名ブランドのシャツを手がける長野と天草の工場で制作。店舗を持たず、工場に直接発注して中間コストを削減することで、同品質のシャツと比べて3〜4割安く、既成品と同程度の価格に抑えているという。

価格は送料込みで約9000円から約1万2000円程度。注文から2週間程度で届き、購入後30日以内であれば無料で返品できる。キャンペーンとして、登録者全員に20ドル(約2000円)分のギフトカードをプレゼントしている。

DellとNIKEidから着想

この手のサービスとしては、日本人の体型に特化した「フィットアルゴリズム」によって、試着をせずに自分に合ったスーツやシャツを購入できる「ラファブリックス」をTechCrunch Japanで紹介したばかり。北米では2007年にカナダで創業し、2013年3月にシリーズBで1350万ドルを調達した「Indochino.com」が有名だ。既存のサービスとの違いについて、Original Stitchを運営する米BleuFlamme創業者のJin Koh氏は、「スーツではなくシャツだけに特化していること」と説明。技術面では独自の3Dデザインシステムが差別化のポイントなのだという。

Original Stitchは2013年12月、シリコンバレーで働くエンジニアの「服を買いに行くのがめんどくさい」という思いを出発点に生まれたサービスで、自宅やオフィスにいながら「最短5分」で注文できることを売りにしている。Koh氏は、在庫を持たずに注文を受けてから製造するDellのBTO(Built To Order)モデルと、好きな色やデザインで世界で1足だけのスニーカーを作れる「NIKEid」から着想を得たと話す。「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」とはロングセラー『アイデアの作り方』の一節だけれども、Original Stitchもそんな発想から生まれたサービスと言えそうだ。

日本上陸にあたっては、国内でベンチャー支援を手がけるInsproutと提携。InsproutはBleuFlammeに出資していて、サイトの日本語化やユーザーサポートなどの業務を担当している。日本ではFacebook広告を使ってサービスを訴求するとともに、サイト上ではチームラボ代表の猪子寿之氏を起用したYouTube動画を展開。年間で50万枚の販売を目指す。今後は猪子氏以外にもウェブ業界で知名度を持つ人物を用いたキャンペーンを行う予定だという。


投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。