テルアビブのVulcan Cyberは、企業のシステムが抱える脆弱性のプライオリティ探り、それらを修復矯正するセキュリティのスタートアップだ。同社は米国時間3月17日、Dawn CapitalがリードするシリーズBのラウンドで2100万ドル(約22億9000万円)を調達したことを発表した。Wipro Venturesと、既存の投資家であるYL VenturesとTen Eleven Venturesもこのラウンドに参加している。Vulcan Cyberによると、新たな資金はセキュリティ改善のための新しいソリューションの展開と、Vulcan Freeと名づけた、リスクの大きさに基づく脆弱性管理プラットフォームの立ち上げに投じられる。
このラウンドでVulcan Cyberのこれまでの総調達額は3500万ドル(約38億1000万円)になる。。同社によると、2020年には年間経常収益と新規顧客アカウント数が500%増加し、各ユーザーの同プラットフォームのユーザー数は通常10から100人だった。
同社が常に重視するのは、ありうる脆弱性に対する顧客への単なる警告ではなく、それらにリスクと企業の事業資産への脅威の重さで優先順を付けることだ。結局のところ企業のセキュリティチームはアラートの多さに圧倒されてしまうが、スキャナーが表している脆弱性のすべてが、事業にとってプライオリティの高いリスクではない。そこでVulcan Cyberのプラットフォームが顧客に約束するのは、これらのチームが最も重視しリソースを割り当てるべき脆弱性を判断できるようにすることだ。
今回のニュースで大きいのは投資の案件だが、Vulcanの最新の無料サービスも注目に値する。Vulcan CyberのCEOであるYaniv Bar-Dayan(ヤニブ・バー・ダヤン)氏の次のように語る。
「サイバーセキュリティのプロは20年近くも、Nessusのようなオープンソースの脆弱性スキャナーを使ってきた。しかし最近では、脆弱性管理プログラムがリスクに基づく脆弱性管理ツールを使って、スキャンの結果に優先順を付け、具体的なリスクを判断して矯正努力にフォーカスしている。成熟度の高い矯正プログラムでは、スキャンと優先順位づけが、基盤となる必要なファンクションだ。しかしこれからの業界は、スキャナーを補う脆弱性の優先順位づけエンジンを無料で利用できる。今回得た資金で私たちはVulcan Freeサービスをサイバーセキュリティの業界に提供し、企業がサイバーの衛生を達成できるようにする。これによって市場の経済性がシフトし、CISOやCIOたちはもっと多くの予算とリソースを、単純なスキャンと優先順の出力だけでなく、実際の矯正修復努力に投じることができるようになる。そして我々の業界は、修復をもっと効果的に行えるようになるだろう」。
今回の新しい無料プロダクトにより、VulcanのフリーミアムにはVulcan Freeが含まれるようになる。それには同社のサービスの中核である脆弱性の優先順位づけと脆弱性管理機能の一部が含まれ、また既存の無料の脆弱性インテリジェンスデータベースも含まれる。
カテゴリー:セキュリティ
タグ:Vulcan Cyber、資金調達
画像クレジット:Vulcan Cyber
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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)