2021年のアクセラレーターTechstars NYCはますますグローバルに

アクセラレーターのTechstars NYCが、2021年の同社の育成事業に参加する10社を発表した。マネージングディレクターのJenny Fielding(ジェニー・フィールディング)氏によると、これまでで最もグローバルなクラスになるそうだ。

「いつも世界中から応募があり、参加者はどの国の人でもいい。しかし、NYCを名乗る育成事業に少なくとも5社くらいニューヨークからの参加がないと、エコシステムとしては弱い印象になる」とフィールディング氏はいう。

現在、育成事業のほとんど全体がバーチャルである。フィールディング氏は「地理的な差はなくなった」という。それどころか、今回はニューヨークのスタートアップが1社もいない。複数なのはサンフランシスコとワシントンD.C.のスタートアップだけだ。さらに、フランスやイスラエル、ケニヤ、ポルトガル、英国のスタートアップもいる。

フィールディング氏によると、ニューヨークのスタートアップがいなくても「NYC」を名乗る意義はあるという。なぜなら、グローバルなスタートアップをニューヨークのエコシステムに結びつけているからだ。

2020年も育成事業はバーチャルだったが、最も難しかったのが創業者たちの生きた人間同士の仲間意識や友情の醸成だとフィールディング氏は語る。だからこそ2021年は5月の終り頃にリアルで集まる機会を計画している。ただし、どこであれば安全で合法なのかといったことがわからないため、具体的なことはまだ決まっていない。起業家たちが快適だと感じるのは、どんな場所だろうか。

バーチャルな体験のさまざまな部分が、パンデミックが終わっても残るだろう。Techstarsが動員するメンターの数は1回のクラスで200名ぐらいだが、フィールディング氏によると、バーチャルになって、初めて遅刻がゼロになったという。また、彼女によると、デモデーは期限を決めない。投資家と出会える期間を延ばすことによって、資金調達の機会も増えるだろうと彼女は考えている。

今回の参加スタートアップは、以下の企業となる。

  • Dash(ケニヤ・ナイロビ):アフリカの消費者のための複数の通貨に対応する決済ネットワーク
  • Detach.ai(ポルトガル・リスボン):問題を先取り的に解決するAI利用プラットフォーム。
  • Elanza Wellness(サンフランシスコと英国・ロンドン):ライフスタイルと医療およびメンタルヘルスのデータを総合する受精促進プラットフォーム
  • Gable(サンフランシスコとイスラエル・テルアビブ):社員のために近隣のワークスペースを見つける「ワークスペース・アズ・ア・サービス」の企業
  • Hiitide(シカゴ):本をバーチャル読書クラブや学習コースに変えるマーケットプレイス
  • OneVillage(ワシントンD.C.):がん患者と支援者のためのオンラインのウィッシュリスト、プランニングツール、そして特製品のリテイラーを提供する
  • Paerpay(ボストン):特殊なハードウェアやアプリのダウンロードが要らない非接触決済のプラットフォーム
  • Phalanx(ワシントンD.C.):データとモデルの検査と脆弱性走査を用いてAIシステムのセキュリティを確保する
  • Phood(ボウルダー):大学の学生カードをデジタル化してオンラインサービスの決済に使えるようにする
  • Prediko(英国・ロンドンとフランス・パリ:eコマースの在庫計画を行うスタートアップ
カテゴリー: VC / エンジェル
タグ:アクセラレータープログラムTechstars NYC

画像クレジット:Techstars NYC

原文へ

(文:Anthony Ha、翻訳:Hiroshi Iwatani)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。