Amazonの歴史的な労働組合投票はまもなく開票

Amazon(アマゾン)アラバマ州ベッセマー配送センターの労働組合結成に向けた歴史的投票の開票作業が米国時間3月30日に始まる。ちょうど1年前に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で急増した需要に応じるために操業が始まったこの倉庫は、近代米国史の中でも有数の労働運動の中心地となった。

投票は2月8日に郵便で開始されたが、それまでにAmazonは、投票を遅らせようとしたり、パンデミックの制約にもかかわらず、直接投票させようとした。状況は、予想どおり、日々ヒートアップを続け、3月29日の投票締切日を迎えた。Amazonの積極果敢な広報戦略の基準を踏まえても、驚くほど事態は進んでいる。

中でも、3コマース巨人はTwitterを活用して積極的アンチ組合戦略を展開した。さらに同社は、現在の労働環境のイメージを宣伝しようと試み、一方でバーモント州上院議員であるBernie Sanders(バーニー・サンダース)氏のような進歩派/左翼政治家と対決した。同議員は倉庫労働者の最低賃金時給15ドル(約1660円)をAmazonに認めさせる中心的役割を演じた人物だ。

報道によると、サンダース議員とマサチューセッツ州のElizabeth Warren(エリザベス・ウォーレン)上院議員に対する焦土作戦は初めから過熱した。ファウンダーのJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏(2021年CEOを辞任する予定)は、攻撃を推進したと言われている。

Amazon News Twitterは、反論するツイートを発信し、配達員がノルマ不達を恐れてペットボトルで用を足しているとする広く根強い報道を否定したが、その後前向きなアプローチへと転じた。しかし、投票を巡っての行動は続けられており、投票箱を監視するビデオカメラの設置を提案したが、全国労働関係委員会(NLRB)に却下された。

票集計は米国時間3月30日から始まるが、すぐに結果が出ることを期待しないように。プロセスは系統的かつ慎重だ。どちらの側からも文句の出ない方法がとられる。これが現在、ベッセマー配送センターで働いている6000人ほどの労働者よりはるかに大きい問題であることを会社が十分認識していることは、Amazonの最近の行動からも明らかだ。もし会社が勝利すれば、この決定を同社の労働条件の妥当性を証明するものだと位置づけるだろう。一方、もし労働者が組合結成に賛成すれば、会社全体に連鎖反応をもたらす可能性がある。

米国時間3月5日、アラバマ州バーミンガム。議員団がAmazon BHM1施設の組合結成活動関係者と2021年3月5日に会談した後、トラックが走り去る。Amazon施設で働く人々は現在時給15ドルを得ているが、ノルマ軽減の要求は経営陣に聞き入れられていないと感じている(画像クレジット:Megan Varner/Getty Images)

今週Amazonの ドイツ事業者の労働者はストライキを4日間決行する予定であり、先週イタリアでも同様の動きがあった。

「これはアラバマ州の労働者だけではありません。ジェフ・ベゾス氏に、もうたくさんだと言っている世界中の労働者です。話す言語は違っても、世界中のAmazon労働者はみんな、あまりにも長い間我慢を強いられてきたこの労働条件に耐えるつもりはありません」と小売・卸・百貨店労働組合(RWDSU)のStuart Applebaum(スチュアート・アップルバウム)プレジデントは声明で語った。

票集計はNLRBが管理する。もし労働者が組合結成を支持すれば、ベッセマーの労働者はRWDSUに加入する。同組織もAmazonの抵抗にあっている。先週、AmazonはTechCrunchに次のように語った。

RWDSUの最高誤情報責任者、スチュアート・アップルバウム氏は、自らの凋落しつつある組合を救うために、もう1つの事実をまったく新しいレベルに引き上げました。しかし、当社従業員は賢明であり真実を知っています。時給15ドル以上、入社初日からの健康保険、そして安全で包括的な職場。会社は全従業員に投票を推奨します。

投票用紙はNLRBのバーミンガム事務所に送られた。どちらの側もいくつかの理由でも結果に異議を唱えることができる。投票した人物が実際にAmzon従業員であることを証明する署名もその1つだ。票集計が終わったあとでも、何かが起きるに違いない。法廷闘争になる可能性も高い。最終的に数週間、数カ月間を要するかもしれない。

この戦いは超党派の政治的同盟が作られる稀な状況になっている。一方にMarco Rubio(マルコ・ルビオ)氏、他方にバーニー・サンダース氏、エリザベス・ウォーレン氏、Joe Biden(ジョー・バイデン)氏といった政治家が並ぶ出来事は滅多にない。労働組合のような伝統的に対立する事象ではなおさらだ。

「すでにこの運動はさまざまな意味で勝利です」とアップルバウム氏が先週の声明で述べた。「投票結果がどうなるにせよ、この国全体で組合結成のドアを開いたと私たちは信じています」。

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カテゴリー: パブリック / ダイバーシティ
タグ:Amazon労働組合

画像クレジット:Elijah Nouvelage/Bloomberg via Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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