アマゾンの労組結成賛否を問う従業員投票結果を受け米労組会長が「再選挙の可能性が高い」と語る

Amazon(アマゾン)のアラバマ州ベッセマー倉庫で行われた労働組合結成の賛否を問う従業員投票で、米国時間4月9日に明らかになった開票結果がどうであれ、AmazonとRWDSU(小売・卸売・百貨店労組)の戦いに終わりがないことだけは確かだった。圧倒的にAmazon有利となった開票結果を受け、組合はすぐにその結果に異議を唱えた。

RWDSUは、賛成も反対も50%を超える票がなかったことを受け、Stuart Appelbaum(スチュアート・アッペルバウム)会長の声明をいち早くTechCrunchに提供し「我々は、この選挙を腐敗させたAmazonの行動について包括的な調査を要求する」と述べている。

Amazonは、当然のことながら、すぐに勝利宣言を行った。「Amazonスタッフ」とクレジットされたブログ記事の中で、同社は次のように書いている。

アラバマ州のBHM1フルフィルメントセンターの従業員のみなさん、選挙に参加していただきありがとうございました。この数カ月間、さまざまな意見が飛び交っていましたが、最終的にみなさんの総合的な声が聞けたことをうれしく思います。結局、BHM1の従業員のうち、RWDSUの組合に加入する方に投票した人々は16%以下でした。この選挙でAmazonが勝利したのは、私たちが従業員を威嚇したからだと組合側がいうだろうことは容易に想像がつきますが、それは事実ではありません。

会社側は選挙が「終わった」と言っている一方で、RWDSUは、将来的にベッセマー倉庫で労働組合が結成される可能性と、この運動が今後のAmazonにおける組合結成活動にどのような意味を持つことになるかという両面において、まだ希望を持っている。

アッペルバウム会長は、米国時間4月9日早朝に行われた記者会見で、Amazonが労働者に対し、職を失いたくなければ組合に反対票を投じる必要があると伝えていたことを示唆した。

「私たちは、再選挙の可能性が非常に高いと考えています」と、組合長はメディアに対して語った。「Amazonがこれを勝利と考えるならば、考え直した方がいいと思います。せいぜい、ピュロスの勝利に過ぎません。この期間に何が起こったかを見てください。私たちはAmazonの非道な労働環境を、誰もがわかるように暴露したのです」。

アッペルバウム氏の発言の一部は、ノルマの厳しさを懸念して労働者が飲料水用ボトルに排尿していたという数々の報道について言及していると思われる。Amazonは、明らかにJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)CEOの指示で積極的なソーシャルメディア・キャンペーンを展開する中で、当初は上述のような報道を否定していた。しかし、数々の反論的報道を受け、一部のドライバーに該当する可能性があることを認めた。そしてすぐに、だがそれは広範な業界の問題であるとして責任を転嫁した。

「Amazonが勝ったのではなく、社員が組合加入に反対するという選択をしたのです」と、同社は投稿の中で続けている。「従業員はAmazonの心であり、魂です。私たちは常に従業員の声に耳を傾け、彼らのフィードバックを受け、継続的な改善を行うことに懸命に取り組み、安全で包括的な職場で優れた給与と福利厚生を提供するために多額の投資を行ってきました。私たちは完璧ではありませんが、我々のチームと自分たちが提供しているものを誇りに思っています。そしてこれからも日々向上するために努力を続けていきます」。

RWDSUの異議で鍵となりそうなカ所は、Amazonが全米労働関係委員会(National Labor Relations Board)の規定に反して、USPS(米郵便公社)に圧力をかけて設置させたという投票箱だ。アッペルバウム氏は、この投票箱が「監視されているような印象を従業員に与えた」と述べている。

同氏は、RWDSUがすでにAmazonの他の施設で働く従業員と連絡を取り合っていると付け加え「この選挙の前に、すでに他の施設の労働者とも話し合いを始めています」と説明した。

その後、Amazonは投票箱について次のような声明を出した。「我々は最初から、すべての従業員に投票して欲しいと言っており、簡単に投票できるようにするためにさまざまなオプションを提案しました。しかし、RWDSUはあらゆる場面でこれらに対抗し、郵送のみによる選挙を推し進めましたが、それでは投票率が下がることが、NLRB自身のデータからわかっていました。USPSだけがアクセスできる郵便箱を設置することは、従業員が簡単に投票できるようにするための、シンプルで安全な、完全に任意の方法であり、それ以上でも以下でもありません」。

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:Amazon労働組合労働問題

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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