ナイジェリアの資本市場規制機関であるSEC(証券取引委員会)が現地時間4月8日に公開した発表文によると、この国で外国証券を取り扱う投資プラットフォームは危機状態に陥るかもしれない。
最近明らかになったSECの規制によると、これらのプラットフォームは国に登録されていない外国証券を取引しており、中止するよう警告を受けている。彼らと提携している資産市場運用者も、外国証券向けの仲介サービス提供に関する規則に違反しているとして警告されいる。
この3年間、ナイジェリアのフィンテック分野にはRobinhood風の証券取引プラットフォームであるBamboo、Trove、Chaka、Riseなどが次々と登場してきた。これらの会社はナイジェリア国民向けに、現地および外国市場の株式、債権その他の証券取引サービスを提供している。こうしたプラットフォームは中流階級の間で人気があり、国の通貨であるナイラの切り下げから資産を守る避難場所として利用されている。
とはいえ、その運営方法はRobinhoodとは大きく異る。Robinhoodは取引アプリであると同時にオンライン仲介(紹介・清算)を行い、ゼロ・コミッション(手数料なし)取引業者でもある。ナイジェリアの投資プラットフォームはそれとは異なる。米国ではどの取引プラットフォームでも仲介ライセンスを取得できるのに対して、ナイジェリアでライセンスを得るのは非常に困難だからだ。そこで資産市場運用者(この場合は国内および外国の仲介企業)がプラットフォームと提携を結び、その結果ナイジェリアの人々は国内および一部の外国証券を売買することができる。
さまざまな政府機関がテックスタートアップに対して一連の規制攻撃をかけた後、2020年12月にSECが続いた。SECはプラットフォームの1つであるChakaを選び出し、株式の販売と広告を行ったとして告発した。SECの定義した容疑は、Chakaが「外国企業、たとえばGoogle、Amazon、Alibabaなどの株式を購入するプラットフォームを提供し、必要な登録を行うことなく委員会の規制範囲を超えた投資活動に関与した」こととしている。
ChakaのCEOであるTosin Osibodu(トーシン・オシボドゥ)氏は一切の不正行為を否定し、2021年に入ってからこの日の発表まで、この件についてSECから何も聞いていなかったと語った。当然規制当局は途切れていた捜査を継続し、今回初めて、Chakaだけでなく、仲介企業を含むすべての投資プラットフォームを標的にした。SECの厳格な指示は、ナイジェリアに登録済みの取引所に上場していない外国証券の販売、発行あるいは販売斡旋を中止せよというものだ。
これが示唆しているのは、今後投資プラットフォームは業務を縮小し、現地の株式と証券取引だけしか個人に提供できなくなるということだ。これは、こうしたスタートアップのビジネスモデルに影響を与える。そして彼らが提供する中心的価値である、ナイジェリア人がナイラ切り下げ対策として資産を預ける行為が打ち消される危機に瀕している。
しかし、SECとの小競り合いの末、先月Chakaは当局と交渉した結果、新たに制定されたライセンスを取得すれば、規制による危機から逃れられる可能性があることを発表した。これは他の投資プラットフォームがSEC規制下で運用するためにも必要となる手続きだ。
規制当局がウェブサイトで以下の情報を公開している。
証券取引委員会(以下「委員会」)は、いくつかのオンライン投資・取引プラットフォームが、異なる法域に登録された証券取引所に上場している外国企業の証券をナイジェリア連邦共和国の投資家が直接取引する手段を提供していることを察知した。当該プラットフォームは委員会に登録されている資産市場運用者(CMO)と提携して運営しているとも主張している。
委員会は、2007年投資証券法(ISA)第67~70条、およびSEC規約第414、415項の規定により、ナイジェリアに登録された取引所に上場されている外国証券のみがナイジェリア国民に対して発行、販売、あるいは販売または斡旋可能であることを断じて宣言する。このため、当該オンラインプラットフォームと連携して働いているCMOには、委員会の立場を通知するとともに、今後行為を中止するよう勧告する。
委員会は一般投資家に対し、通常およびオンライン媒体を通じて宣伝された投資商品に関して、確立された伝達経路を通じて要求された明確な情報を取得することを強く要求する。
カテゴリー:フィンテック
タグ:ナイジェリア、アフリカ
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(文:Tage Kene-Okafor、翻訳:Nob Takahashi / facebook )