Twitterが「友達だけへのツイート」「複数のペルソナ」など新機能を検討中

Twitter(ツイッター)には、検討中の機能やデザインを非常に早い開発段階で公表してきた歴史がある。たとえば2021年6月中旬、同社はユーザーが他者のツイートから自分のタグを外す 「unmention(アンメンション、メンション削除)」機能のコンセプトを披露した。そして米国時間7月1日、Twitterはユーザーが自分のツイートを誰が見られるか、誰がリプライできるかなどを細かく管理できる仕組みを発表した。新たなコンセプトには、信頼している友だちのグループのみに向けてツイートする方法、リプライを投稿する前に言葉の選択を考え直すよう促すプロンプト、仕事、趣味、興味に関するツイートなど、異なる状況に応じてツイートできる「ペルソナ」機能などが入っている。

関連記事:ツイッターが@mentionをユーザーが管理できる新しい攻撃防止ツールを検討

同社は、これらのコンセプトを熟考中であり、開発の参考にするためのフィードバックを集める予定だと言っている。

最初のアイデアは、2020年公開した投稿者が自分のツイートに誰がリプライできるかを選べる機能とともに検討が始まった。現在ユーザーはリプライできる人を、ツイートでメンションされた人のみ、自分がフォローしている人のみ、あるいはデフォルトの「全員」から選ぶことができる。しかし、こうすることで返信できる人を制限することはできるが、ツイートそのものは誰でも見られる。また、いいねやリツイートや引用したりすることもできる。

提案されているTrusted Friend(信頼する友達)機能では、ユーザーが自分で選んだグループに向けてツイートできる。これは、Twitterをリアルライフの友達や個人的によく知る少人数のネットワークとのやりとり使う方法になり得る。たとえばニューヨークの友達だけにツイートして自分がそこを訪れていることを知らせる、といった使い方もできる。あるいは、テレビ番組やスポーツイベント、趣味などの嗜好が共通する人たちだけにツイートすることもできるだろう。

画像クレジット:Twitter

公開のツイートと別にプライベートな会話を可能にすることで、Twitterの利用を促進することが期待され、初めてツイートするユーザーを後押しすることもできるかもしれない。しかし同時にこれには、Twitterにとって破壊的な一面もある。誰もが会話に参加できる公開メッセージボードのようなプラットフォーム、という同社本来のアイデアを損なうものだからだ。ユーザーは自分の投稿が公共でシェアされる価値があるかどうかを考えた結果、その多くを広くTwitterユーザーに公開することを控えるようになるかもしれない。それはTwitterのエンゲージメント指標に影響を与える可能性がある。またこれは、一部の投稿だけを世界に向けて発信し、友達とだけシェアすることのほうが多いFacebook(フェイスブック)の領域にTwitterを近づけるものでもある。

Twitterはこのプライベートな「友達のみ」方式の利点について、現在行われている回避方法、たとえば複数のアカウントを使ったり、公開ツイートと非公開ツイートを切り替えることをしなくてすむことを挙げている。

次に検討されている新機能が、Reply Language Prompts(リプライ表現プロンプト)だ。この機能によってTwitterユーザーは、自分へのリプライで見たくない言葉遣いを選ぶことができる。誰かがリプライしようとすると、該当する単語とフレーズが強調表示され、投稿主がなぜこれらの言葉遣いを望んでいないかを説明するプロンプトが表示される。例えばユーザーは自分の投稿への下品な表現を含むリプライに対してプロンプトを出すように設定することができる。

画像クレジット:Twitter

この機能はリプライの送信を止めるものではない。どちらかというと、よく考えて欲しいという穏やかな「nudge(ナッジ、ひと押し)」だ。

こうした「ナッジ」には影響力が期待できる。例えば、以前Twitterが、リツイートして拡散する前に投稿を読むことを促すナッジを導入したとき、ユーザーは以前より40%多くリツイート前に記事を開くようになった。もっとも、荒らしに確信犯にはさほど効果がないかもしれない。

関連記事:Twitterが「リツイートの前に読め」プロンプトを全ユーザーに適用、脊髄反射リツイート防止へ

第3の、おそらく最も複雑な機能は、Twitterが「Facets(ファセット)」と呼んでいるものだ。
これは1つのアカウントから異なるペルソナでツイートすることに関する初期段階のアイデアだ。この機能は、仕事、副業、個人や家族の生活、熱中しているものなど、自分の異なる側面についてツイートすることの多い人にとって意味がある。

画像クレジット:Twitter

Trusted Friendsがパーソナルなネットワークに向けてツイートするのに対して、Facetsは、自分の全ツイートをフォローして欲しいのか、興味のある「facet」に関するものだけをフォローして欲しいのかをユーザーが選ぶことができる。例えば誰かのテクノロジーに関するツイートはフォローするが、その人がひいきチームのプレイを見たリアクションの連続投稿は無視できる。あるいは、友達の個人的なツイートだけをフォローして、仕事関係のコンテンツを無視することもできる、等々。

これは興味深いアイデアだ。なぜならTwitterユーザーは、いわゆる「off-topic(オフトピック、主題から逸脱した)」なツイートでフォロワーを遠ざけてしまうことを常に恐れているからだ。しかしこれは、どのツイートをどのユーザーに見せるかという問題をエンドユーザー自身に決めさせるものでもある。どのコンテンツが合っているか、どれを無視しがちかを理解しているアルゴリズム的タイムラインのほうが、ユーザーにとってありがたいかもしれない。

これらの機能が開発中であるかどうか、Twitterは何も述べていない。これは会社が考えているアイデアを見せるための単なるモックアップ・デザインだ。どれかを開発するかどうかも決まっていない。Twitterが期待しているユーザーフィードバックが決定を手助けするだろう。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:TwitterSNS

画像クレジット:TechCrunch

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。