TikTokに、より長い動画を投稿できるようになる。過去数カ月の間に多くのクリエイターを対象とするテストを行った結果、同社は最長3分間の動画を作成できるオプションを導入すると、米国時間7月1日に発表した。TikTokの動画の長さは、当初の15秒から60秒に拡大されたが、この60秒の動画フォーマットは「Snapchat Spotlight(スナップチャット・スポットライト)」や「YouTube Shorts(ユーチューブ・ショート)」など、TikTokの新たな競合製品に模倣されていた。
TikTokによると、クリエイターコミュニティから寄せられた意見に基づいて、同社は動画の最大時間を拡大することに決めたという。クリエイターたちは、ある種の動画を作成する際に、例えば料理の実演や、美容のチュートリアル、教育コンテンツ、コメディタッチの寸劇などの動画では、より多くの時間と柔軟性を求めていた。
TikTokのプロダクトマネージャーを務めるDrew Kirchhoff(ドリュー・キルヒホフ)氏は「より長い動画を投稿できるようになったことで、クリエイターは新しい、あるいは拡張された種類のコンテンツを、もう少し余裕を持って、柔軟に制作することができるようになります」と、同社の発表の中で説明している。
3分に拡大される以前、多くのクリエイターはTikTokの制限を回避するために、動画をパート1とパート2(あるいは3、4……)に分け、続きを見せるために視聴者に「いいね」や「フォロー」を促していた。フォロワーを増やすためには有効かもしれないが、視聴者の側には、最初に興味を持った動画の続きを見るためだけに、そのクリエイターの他の動画をわざわざスクロールしたくないという不満があった。またこれは、どれほど多くのTikTokクリエーターが、無意味で人為的な制限に対する解決策を見つける必要に迫られているかということも明らかにした。
動画の長さを拡大した今回の変更によって、TikTokはさらに強力なYouTubeの競争相手となる可能性もある。YouTubeはTikTokの成長を懸念して、自社のアプリに「YouTube ショート」というTikTokと直接競合する機能を導入した。しかし、TikTokは、自社のプラットフォームの優位性は、動画が短いことではなく、さまざまな特殊効果や、ARツール、音楽カタログ、そしてステッチやデュエットなどの特殊なツールを使ってクリエイター同士が生み出す対話など、豊富な機能の組み合わせにあることを理解している。
他のライバル企業も、TikTokの脅威に注目している。
今回のTikTokの発表の前日には、Instagram(インスタグラム)の責任者であるAdam Mosseri(アダム・モセリ)氏が、これまで写真の共有に特化していたこのFacebook傘下のアプリで、短くておもしろい動画を、よりInstagram体験の中心に据える実験を間もなく開始すると語ったばかりだ。Instagramでは「フルスクリーン、没入型、エンターテインメント性、モバイルファーストの動画」など、動画をより良く魅力的にするための新しい方法を試していくと、モセリ氏は約束している。
「率直に言って、今は非常に厳しい競争があります。TikTokは巨大です。YouTubeはさらに大きい」と、モセリ氏は言及した。
TikTokは、2020年末より3分間の動画のテストを始めていた。同社によると、より長い動画を撮影できるオプションは、今後数週間のうちに世界中のユーザーが利用できるようになるとのこと。アップデートが適用されたら、ユーザーに通知があるはずだ。
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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)