MOYAI(モヤイ)は11月19日、LED一体型ネットワークカメラ「IoTube Pro.W6」「IoTube Pro.4G」においてエッジAIを実現するための開発を、ギリア(Ghelia)のAI技術を用いて行なうことを発表した。IoTube Pro.W6は2022年4月より、またIoTube Pro.4Gは2022年6月より納品開始予定。
IoTube model Pro.シリーズは、遠隔地からのリアルタイム監視と双方向通話が可能なLED一体型製品。鉄道車両内搭載に向け各必要適合規格をすべて取得し、2020年7月に東急電鉄が導入したモデルの製品品質をベースにしたものという。魚眼カメラで撮影した動画をSDメモリーカードに保存可能なほか、通信方式は用途に合わせてWi-Fi 6とLTE/4Gの2種類から選択できる。サーモセンサー・マイク・スピーカー・煙感知センサー・温湿度センサー・3D加速度センサー・BLEビーコン・CO2センサーも搭載している。また、エッジAI機能により、防犯カメラおよび行動解析が可能なほか、社会的弱者(車椅子・白杖・ベビーカーなど)の発見と見守りや、アフターコロナに向けた密度測定、マスク判定検知、行動分析にも利用できる。鉄道車両内での異常事態検知や非常通報ボタンとの連携、リアルタイム監視による現場状況の可視化、乗客への誘導指示といった活用を想定しており、鉄道車両内での問題発生の抑止力や有事の対応力の強化においても期待されているという。
ギリアでは、AIの社会実装で培った独自技術をベースに、「人物検出」「姿勢検出」「視線検出」など様々な利用シーンに特化したAIソリューションを提供。ギリアのAIモデルを搭載したIoTubeを利用することで、公共空間の安心安全を守るだけではなく、マーケティングや様々なソリューションへの活用が可能としている。
鉄道車両内での応用による異常事態検知では、「視線推定による異常事態感知」(複数の乗客が異常者・事態を凝視する行動)、「動線感知による異常事態感知」(複数の乗客が一定方向に逃げる行動)、「一定もしくは複数の警戒閾値を超えた場合に司令・運転士・車掌にアラートが発報」「AIによる避難者数・転倒者数の把握」などを挙げている。さらに、マイクセンサーの集音データをAIが解析し、通常騒音以外の音域、異常な足音・悲鳴・怒号などを検知するという。
このプロダクトで使用されるAI技術を開発したギリアは、「ヒトとAIの共生環境の実現」を目指して、社会や暮らしの中でAIによる能力拡張を実現し、課題解決や効率化に加えてAI技術による歓び・発見・感動体験を提供することをビジョンとするスタートアップ。同社CEOの清水亮氏が創業したUEI(2020年9月解散)とソニーコンピュータサイエンス研究所、ベンチャーキャピタルWiLが2017年に共同設立した。