US注目記事まとめ:メッセージは自己消滅の時代?

写真は永遠でなくてもいい

短時間で写真やメッセージが消滅する、刹那的メッセージアプリといえば、(Facebookの30億ドル買収を蹴ったと言われる)Snapchatが代表格だが、最近ではAppleがiOS 8のメッセージに「時限消滅機能」を入れるなど、こうしたしくみも市民権を得てきた。
そんな中、出会い系写真アプリのTinderも、写真は永遠であるとは限らないという決断を下した。ちなみにTinderでは、次々と現れるお相手候補の写真を見て、右にスワイプすれば「好き」、左にスワイプすれば「ノー」、と意思表示をする。互いに「好き」を付けた同志はメッセージが交換できる。これまでに20億組の「マッチ」が生まれている(3月には10億組だった)。

そのTinderが “Moments”[瞬間]という新機能を追加した。1人が複数とマッチすることが可能なので、人数が増えてくるとマッチした相手と知り合うのが難しくなる。そこで、大切な「瞬間」を写真に撮って送るのがMoments機能だ。そしてその写真は24時間後に削除される。

TinderはSnapchat対抗というわけではないが、Facebookは、かつてSnapchatの台頭に危機感を覚え、Pokeというそっくりアプリを作り、大失敗のままApp Storeから消えた。しかし、最近になってSlingshotという写真共有アプリを開発し、そこには自己消滅機能が実装されている(リンク先にあるように、Slingshotは未公開だが誤って一時的に一部地域で公開された)。

ちなみに、写真が「消滅する」と言っても、誰もが想像するように「スクリーンショット」を取れば保存はできる(相手がスクリーンショットを取ったことが通知されるアプリもある)。つまり、本質的に削除するというよりも、「はかなさ」を楽しむ機能なのではないかと私は想像している。

iWatchは出るのか?


WWDCで全く言及されなかったAppleのiWatch[と皆が勝手に呼んでいる]だが、HeathKitを発表したAppleが「健康」や「ウエアラブル」に関心を持っていることは間違いない。最新のテレビCMでAppleは数多くの健康デバイスを登場させたが、もちろんiWatchは出てこない。

そんな折、iWatchは10月発売というニュースがTechCrunchに流れたが、ソースは何と日本経済新聞。果たして真相はいかに。個人的には少なくとも今年中のiWatchは無いと見ている。

殆ど見返りのないKickstarterプロジェクトが300万ドル突破

Reading Rainbowは、アメリカの教育テレビ系で1983年から2006年まで放映された番組で、子供たちに読書の楽しみを伝えてきた。先月、司会を務めた俳優・監督・プロデューサーのレヴァー・バートンはKickstarterプロジェクトを立ち上げた。しかし、Reading RainbowのiPadアプリや本の数々はすでに提供されている。バートンがやりたかったのは、コンテンツをウェブに移して、あらゆる学校で自由に使えるようにすることだった。

目標100万ドルのKickstarterプロジェクトは、その日(5/29)のうちに目標を達成した。その時点の支援者は2万2729人。100万ドル達成の瞬間を歓喜するバートンのビデオもある。

そして今日(日本時間6月12日)、Kickstarterページを見たところ、何と金額は368万4780ドル、支援者は8万人を越えていた。Kickstarterの目標額は100万ドルのままだが、紹介ビデオには「新しいゴールは500万ドル」と書かれている。
3000ドルでバートンがディナーに招待する、1万ドルで学校にバートンが来て読み聞かせをする、などのリターンもあるが、基本的に殆どの支援者が受け取るのは名誉だけ。

Reading Rainbowを見て育った世代が、今やiPad世代の父や母になっていることも、Kickstarterが適している理由だと記事は書いている。

MITの手を振るだけで変身する部屋

MIT(マサチューセッツ工科大学)が開発したCityHomeは、「200平方フィートのモジュラーユニットを、840平方フィートの部屋に、手を振るだけで変えられる」というもの。手のジェスチャーを検知するセンサーが組み込まれている。

もちろん、実際に部屋が大きくなるわけではなく、ビデオにある通り、用途に応じてテーブルがベッドになったり、キッチンカウンターになったりする。

でも、日本人にとってはどこか懐しくさえ感じるしくみかもしれない。何もない畳の部屋が、ちゃぶ台を広げればダイニング、ふとんを敷けばベッドルームに変身するのだから。

Googleのアンテナ気球が送電線に衝突


GoogleのプロジェクLoonトは、アンテナ基地を積んだ気球を飛ばして、遠隔地でインターネットを利用できるようにしようという壮大な試みだ。気球は成層圏に滞留し、高度を変えて逆方向の気流に乗ることによって操縦できる。もちろんソーラー電力駆動だ。記事は、ワシントン州の田写で気球が送電線に衝突し、少数の民家が数時間停電になった事故を伝えている。Googleは、FAA(連邦航空局)に連絡を取り、飛行機が気球と衝突することを避けたとのことなので、比較的制御された状態で落下したとみられているが、全気球に装備されているパラシュートが使用されたかどうかは不明だ。

Googleは既に参入済みの光インターネット回線事業を拡大し、アリゾナ州での仮想移動体通信事業(MVNO)進出を準備しているらしいとの情報もあり、つい最近には衛星テクノロジーのスタートアップ、Skyboxを5億ドルで買収し、独自衛星保有へと進むなど、もはや「通信会社」としての地盤を築きつつある。

カメラ付ドローンをレンタルしよう


クワッドコプター・ドローンが山ほど登場し、GoProを始めとする動画カメラが普及した今、ビデオカメラを塔載したドローンを飛ばしたくなる人は多いだろう。しかし、カメラを載せて安心して飛ばせるドローンとなると、まだまだ敷居が高い。

写真情報マガジン&オンラインストアのphotojojoが、新しいドローンレンタルを始めた。GoPro付きのPhantom 2ドローンを、1日49ドルでレンタルできる。使用前には1時間のレッスン(有料50ドル)を受ける必要がある。買えば2000ドル以上する機器なので、空からビデオ・セルフィーを撮ってみたい、という向きはお試しあれ。

Glanceは今使っている腕時計と共に使うスマートウォッチ

スマートウォッチといえば、Glaxy Gear、Sony Xperiaをはじめ数多あるが、これは「既存の腕時計と一緒に使う」スマートウォッチというから興味深い。いったい、何をどうやって古い時計と連携するのかと思うが、それはビデオを見てのお楽しみ。Kickstarterで21日を残して、獲得額3万8000ドル(目標15万ドル)ということなので、われわれが手にするのは難しそうだ。

翻訳:Nob Takahashi / facebook


投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。