配信記事キャッシュ開始したGunosy、広告収益分配ではSmartNewsを先制

昨日KDDIなどからの12億円の資金調達を発表したばかりのGunosyだが、また新たな発表があった。同社は6月24日、ニュースリーダーアプリ「Gunosy」上で閲覧できるオンラインメディアの記事のキャッシュ化と、メディアに対して広告収益の一部を還元すると発表した。

同社に聞いたところ、すでに6月6日から大手を中心にいくつかのオンラインメディアの記事をキャッシュしているそう。対象メディアの記事は、高速かつ、通信環境を問わずに閲覧できるようになっているという。Gunosyではキャッシュを許諾した媒体名を明らかにしていないが、僕が実際にスマートフォンのネットワークを切って記事を閲覧したところ、共同通信と毎日新聞の記事は閲覧できた。少なくともこの2媒体はキャッシュを許諾しているとみてよいのではないだろうか。Gunosyでは今後、大手を中心としたオンラインメディアに対してキャッシュ取得の打診をしていくとのことだ。

Gunosyでは、2014年に入ってアプリの方向性を変え、パーソナライズからみんなの注目するニュースを集める「メジャー化」に舵を切った。以降、競合サービスであるスマートニュースのニュースリーダーアプリ「SmartNews」に似てきたという声も聞くが、ユーザー体験を比較すると、記事をキャッシュしているSmartNewsに対して、キャッシュしていないGunosyでの記事閲覧に速度的な不満を感じたことがあるのは正直なところだった。

だがキャッシュの取得について言えば、SmartNewsが「メディアの許諾を取らずに記事をキャッシュをしている」として問題になったこともある。余談ではあるが、当時はとある新聞社をかたる警告書までがスマートニュースに届き、それがまたNAVERまとめにまとめられる(現在は削除されている)といったことにもなっていた。スマートニュースに近い関係者に聞いたところ、この警告文はあくまで「かたったもの」だったとのことで、その後その新聞社のコンテンツはSmartNewsで閲覧できるようになっている。こういった背景もあったからなのか、Gunosyではメディア各社に打診したのち、キャッシュを取得するという慎重な姿勢を見せている。

また、キャッシュの取得とあわせて、媒体社に対して広告収益の一部を還元していくという。数字こそ明言しないものの、Gunosyは月間で億単位の売上があるという。その一部について、キャッシュの取得を許諾したメディアに対して還元していくという。

金額などは非公開だが、レベニューシェア、月額固定などいくつかのパターンを想定しているとのこと。Gunosy取締役CFOの伊藤光茂氏は、「Gunosyはバリューチェーンで言うところのデリバリー。コンテンツを作っているところには還元していく」と語る。また伊藤氏は「おこがましいかも知れないが…」とした上で、将来的には自社の広告だけでは収益を上げられないメディアであっても、Gunosy経由での記事配信で大きな収益を生めるような環境を整えたいと語っていた。なお、当面は自社に編集部を持ってオリジナルのコンテンツを作るといったことは予定していないとのこと。

収益の還元についてはスマートニュースでも以前からメディアに対して何らかの形で行うとしているものの、現時点では広告事業も収益還元プログラムなども発表されていない(メディアが指定する広告をスマートモード(キャッシュ)上に掲出する機能は提供している)。もちろんスマートフォンでのニュースアプリの覇権を争っているのはGunosyとSmartNewsだけではないが、両社の展開は僕らオンラインメディアにも少なからず関係する話だ。今後について注目していきたい。


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TechCrunch Japan

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