ユニコーンの投げ売りがそろそろ始まる?

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター、The TechCrunch Exchangeへようこそ。

今日はいろいろなことをお話しする。コーヒーを入れて、落ち着いて、一緒に楽しもう。

投げ売りか?

Amplitude(アンプリチュード)が直接上場し、取引を開始して、2021年第4四半期の決算を発表したときには壁にぶつかっていたことを覚えているだろうか?2022年初頭に資産価値を減じたのは、上場しているハイテク企業の中で同社だけではなかったが、その再評価の規模は際立っていた。現在、Instacart(インスタカート)が非公開市場で似たような事態に陥っている。

多くの非公開企業は、新入社員の入社意欲と既存社員の定着意欲を高めるために、株価の評価方法を見直すべきなのだろうか。おそらくは。GGVのJeff Richards(ジェフ・リチャーズ)氏は、金曜日(米国時間3月25日)に議論の種を投稿した

未上場企業の評価は上がるだけで、上下することはありえないと考えるのは不合理です。未上場期間が長い企業は、相関関係を正規化する必要があります……。

その通りだ。市場を避けては通れない。再度ベンチャーキャピタルから調達して再評価を目にするまでは、現実を先送りすることができる。もちろんだ。しかし、もし潤沢な資金を持つ後期ステージのユニコーンだったとしたら、新たな資金の調達なしに、どうやって市場価値を把握すればよいのだろうか?

もしInstacartがこのトレンドの始まりなら、スタートアップの評価額は、本当にもう一度、横ばいになる可能性がある。

新しい住処を見つけたTechnori

ささいなことだが、私はシカゴの学校に通っていたので、駆け出しジャーナリストの頃はシカゴのテック業界に出入りしていた。そのため、地域のイベントに出向き、現状を把握することに努めていた。私がJustyn Howard(ジャスティン・ハワード)氏と出会ったのは、現在は公開企業になったSprout Social(スプラウト・ソーシャル)がスタートアップだった頃で、街で開催されたUberのローンチディナーに参加したときだった(そこで初めてTechCrunchの記者に出会い、後に初の就職に協力してもらえた)。

当時はTechnori(テクノリ)というコミュニティ活動が立ち上がりつつある時期で、コミュニティの手によって地域の技術力をアピールするイベントが開催されていた。楽しかった。

その後、Technoriは、ポッドキャストやピッチイベントなどを擁する、一種のメディア業態へと進化し、エクイティクラウドファンディングによるスタートアップの資金調達を支援するようになった。CEOのScott Kitun(スコット・キトゥン)氏がそのポッドキャストに私を呼んでくれたことがきっかけとなって、再び交流が始まった。そして今、Technoriは、オンラインプラットフォームで資金調達を行うスタートアップを、審査・評価するサービスのKingsCrowd(キングスクラウド)に売却され、再び私たちの取材範囲に入った。Technoriがコミュニティ仲間の資金調達を支援するプラットフォームとして進化してきたことを考えると、今回の提携は合理的だと思う。

この取引は全額株式で行われたとキトゥン氏は語る。KingsCrowdもメディア戦略も持っているので、両社には少なからず重なる部分がある。

キトゥン氏はThe Exchangeとのインタビューで、TechnorとKingsCrowdの提携により、エクイティクラウドファンディングを希望するスタートアップの審査が、彼の直感ではなく、よりデータに基づいたものになるため、期待していると述べている。この2社がやがて資金調達の仕組みを通じてスタートアップ市場により多くの資金をを送り込むことができるかどうか、そして、そのうちのどれだけがシカゴに定着するかを見守る必要がある。

ちょっと視野を広げて、Public(パブリック)が最近Otis(オーティス)を買収したことを思い出して欲しい。プラットフォームに投資の多様性を追加するのがその狙いだ。TechnoriとKingsCrowdの取引も同様のものとみなすことができる。両社も新しい投資のための手段の1つを普通の人の手に渡したいと考えているからだ。

キトゥン氏は、別会社であるSongFinch(ソングフィンチ)の共同創業者でもあるので、彼の名前を聞くことがこれで最後にはならないだろう。

Expertsプログラムの変更

今週、私はTechCrunchでの役割が変わり、フルタイムのレポーターからTechCrunch+の編集長になった。The Exchangeのサイト投稿やニュースレターを長く読んでくださっている方は、ここ数年の私の仕事の多くが有料記事だったことをご存知だと思う。個人的な執筆を完全に止めるわけではないが、TechCrunch+のチームを積極的に拡大していく予定だ。まだ会員でない方は、ぜひご入会を(米国在住の方なら、申し込み時に優待コード『EICEXCHANGE』を入れていただくと25%オフとなる)。2022年はとんでもない年になりそうだ。

数年間実施してきた「Experts」プログラムの終了を含め、いくつかの変更を行う。このスタートアップ向けサービス企業を活動別に(たとえばSEOとか)データベース化する取り組みは、創業者を支援したいという私たちの志の一部だった。しかし今後は、単にベンダー候補のリストを作るよりも、市場のさまざまな事業者から知見を引き出すことに重点を置いた取り組みに進化させていくつもりだ。

とはいえ、こうすることで少しばかりブドウの木に実を残すことになる。そこで、Expertsの最後のエントリー業者に関するメモをここに記そう。Growthcurve(グロースカーブ)が、これまでの形式でご紹介する最後の企業だ。その旧来の形式の中で、人々が推薦を書き込んでくれた。ANNA Money(アンナ・マネー)のMariam Danielova(マリアム・ダニエロバ)氏は、Growthcurveについて「信頼性が高く、結果を重視し、データを重視する」と書いている。これは、グロースマーケティングチームに期待できるすべてだ。

TechCrunch+のこれまでの記事を整理し、古いインタビューファイルなどを読み返しながら学んだことは、SEOの重要性がまだまだ残っているということだ。私が以前解析したGrowthcurve創業者Mulenga Agley(ムレンガ・アグレー)氏のメモに書かれていたが、私たちが住む新しいiOS 14の世界では、これがもっと重要になるのだろうか?(現在の最新はiOS 15)もしそうなら、Google(グーグル)へのイジメだろう。

以上のような変化はあるものの、The ExchangeのAnna Heim(アンナ・ハイム)記者が、外部の専門家を起用したハウツー記事を担当することに変わりはない。ただ、2022年は少し違う様子となるだろう。過去に取り上げたみなさん、そしてリストの最後のエントリーとなったGrowthcurveに感謝する。

さあ未来へ!

画像クレジット:Nigel Sussman

原文へ

(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。