インターネットに対する中国の検閲はこのところ急に忙しくなり、過去一週間にこの国の万里の火壁(Great Firewall)はDrupal.orgやThe Atlantic、Firefoxブラウザのエクステンションなど、何千ものWebサイトへのアクセスを妨げてきた。一挙に何千も、というのは、大手CDNをブロックしているためと思われる。
中国のインターネット検閲をモニタしているNPO GreatFireの報告によると、今現在は、大手CDNの一つでVerizonが昨年3億5000万ドルで買収したEdgecastが扱っている“数千の”Webサイトが、この国では見られなくなっている。
Edgecastのブログ記事も、同社のサイトの多くがブロックされていることを認め、現時点ではその状況に関して分かることもできることもほとんどない、と言っている。
ブログ記事から重要な箇所を二つ引用しよう:
今週はフィルタリングがエスカレートして、その影響下にある人気Webプロパティの数が増加しており、弊社自身の多くのドメインの一つも部分的にブロックされている。理由はまったく不明である。
弊社Verizon EdgeCastにおいては、このもっとも最近のフィルタリングの効果を弊社の顧客が軽減できるためのポリシーを設けているが、しかしこれは、中国のユーザ(在中国ユーザ)への到達を求めている弊社顧客にとって、今後も引き続き存在する問題であると思われる。
中国の国家による検閲は理由が明らかでない場合が多いが、今回に関してはGreatFireが説得力のありそうな主張をしている。それによると、中国当局は、検閲という弾丸に対する“防弾チョッキ”のような効果をもつプラットホーム、すなわち、検閲されたWebサイトのミラーサイトを作って中国本土でも見られるようにしているサービスを、弾圧しようとしている。
‘横に寄り添う自由(Collateral Freedom, 相互協力による自由)’を自称するGreaFireも、Webサイトをホストするクラウドサービスを利用している。これらのサイトはこのように、CDNのEdgecastやホスティングのAmazon Web Servicesといったクラウドサービスプロバイダに登録して存在しているから、中国政府がそれらをブロックするためには、そのネットワーク全体を封鎖しなければならない。しかしそうすると、中国政府の本来の目的とは無関係な多くのふつうのサイトまで、アクセス不能になってしまう。
EdgecastがホストしているWebサイトの大量ブロックという今回の事件の、ありえる理由の一つがこれだ。もしそれが真実なら、中国はひと握りの‘有害な’サイトをブロックするために、大量のコンテンツを国内のインターネットユーザの目から隠そうとしているのだ。
中国のインターネットはあくまでも、中国独特のインターネットだ。Googleのサービスはこの夏以降厳しく制限されているが、クラウドサービスに対する今回のようなやり方がさらに手を広げれば、グローバルなインターネットの相当部分が中国の人たちから切り離されてしまうことになる。GreatFireは寄り添う自由に協力する複数のサイトのマトリックスを使って、今回のニュースが伝達されたように、ブロッキングに対する“水漏れ穴”を維持しようとしている。そしてその穴からは今後ますます、中国の検閲当局の活躍とともに、国際的サイトの大量ブロックという光景が、見えてくるだろう。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))