「金槌をうまく使える人は、すべてのものを釘と見てしまう。」
という譬えがある。
リスティング広告のコンサルタントとして有名な阿部氏はこれから、リスティングが得意な人は何でもリスティングで解決しようと考えてしまう傾向がある、ということを述べている。
これはリスティングだけではなく、他の販促手法にも言えることだ。
アフィリエイト広告も運用を細かく丁寧にやれば大きな成果を生み出すし、SEOもピントがずれていない限り継続していけばそのうち確実に成果が出る。
ちょっと横道にそれるがSEOにおけるピントのずれとは、集客するユーザーがずれているケースを指す。
コンテンツマーケティングで、「検索ニーズがあるから流入を大きく増やせるし、スパムにならないという」という理屈で、自社商材と全く関係のない妖怪ウォッチのコンテンツを大量に作ってしまったという例があるそうだ。詳しくは「SEOのロングテール戦略とコンテンツマーケティングの話」をご覧いただきたい。とても示唆に富んだ記事である。
さて、SEOであるが、私は特に近年においてはSEOだけで完結することは難しくなってきていると思うのだ。
近年はコンテンツ作成による検索エンジンからの集客がSEOの根幹と言われているが、コンテンツだけでは集客は完結しない。
集客とはサイトにユーザを連れてくることによって終了するのではなく、コンバージョンが得られて初めて目的を達成する。
コンテンツというものを商品の売り込みを目的としないユーザーのためになる情報だと定義するならば、コンテンツだけではコンバージョンに至らない。
コンバージョンを取るためにはコンテンツではなく売り込みのページ、セリングが重要なのだ。
これはSEOにさほど寄与しないかも知れない。
しかし、充分な情報量や、競合と比較した場合の優位なポイントを明示しない限りコンバージョンにはなかなかつながらない。
コンテンツそのものはサイトにユーザーを集めることはできるが、その先の購入という行動を起こさせることは難しい。
セリングのページの充実があって、初めてコンテンツに存在意味が生まれると私は考えている。
セリングはSEOという観点で考えるというのではなく、
競合と比べてどこがいいのか?
買うにあたっての阻害要因は何か?
を考えて、必要充分な情報を提示することが重要である。
この発想は何かというとマーケティングに他ならない。
そもそもコンテンツSEOもユーザー視点での必要な情報を提供する行為であり、これもまたマーケティングである。
SEOはSEOで完結するのではなく、マーケティングに包含される概念である。
さて、コンバージョンを取るためには、最低限コンテンツとセリングのページが必要であることを述べたが、これではまだ十分ではない。
これで確かにコンバージョンは取れるだろう。
しかし、これだけでは十分な成果を得ることは難しい。
コンテンツとセリングの間には隔たりがある。
コンテンツを見て役に立ったと感じたとしても、それがコンバージョンにつながる可能性は高いとは言えない。
コンテンツからセリングへの橋渡しが必要となる。
様々なコンテンツやセリングを作りこむことで、検索結果への露出を増やすことで、再訪を促すのももちろん有効なのだが、これは決定打とはいいがたい。
再訪させるためには、様々なニーズを満たすキーワードで検索結果に露出をはからなければならないが、狙ってもうまくいかないことも多い。
様々な手法を駆使して再訪を促し、セリングページを見せなければならない。
そのための手法とは、リマーケティングであったり、検索広告向けリマーケティングであったり、ディスプレイネットワーク、Facebook広告、メールマガジン、アフィリエイト広告といったあらゆるオプションが考えられる。
これらを選択、組み合わせ、最終的にコンバージョンを高める絶え間ない努力が必要だと私は考えている。
SEOの担当者がこれらの全ての手法を熟知することは不可能だと思うのだが、そのメリット・概要を押さえておくことは必須だと思う。
一人の担当者で押さえることができる領域は多くはないのだが、結局のところ細かいテクノロジーを知らなくても、それらの集客ソリューションが消費者にとって、どのような意味をもたらすか?を理解すれば、ある程度の見通しを立てることは可能だと思うのだ。