ErrplaneのファウンダPaul DixとTodd Persenは昨年、データセンタの異状検出サービスをビジネスにしようと考えたが、すぐに、それは競争が激しい分野だし、そのためのインフラを一から作るのはたいへんだ、と気づいた。しかしそのとき同時に、そのサービスを使いたいというユーザよりは、そういうサービスがその上で動いているインフラに関心があるユーザが多いことにも気づいた。そこで二人は、データセンタモニタリングサービスで既存企業と競争するよりも、そういう連中みんなに使ってもらえるようなオープンソースのプロダクトを作ろう、という方向へハンドルを切った。
その方向転換は、ほとんど初日から成功した。今日(米国時間12/8)同社はMayfieldとTrinity Venturesから、そのプロダクトと、それを軸とする商用サービスの開発を続けるための資金として810万ドルを調達した。
DixとPersenの今度のアイデアは当たったようだ。それは、オープンソースの時系列データベースだ。ふつうのデータベースと違って、時間とともに変化するデータを集めて処理する。“時系列データベースは、大量のデータを生成する。ふつうのデータベースを、そこまでスケールして使うのは困難”、とDixは説明する。
二人はY Combinator出身で、当時はErrplaneをデータセンターの異状検出のためのSaaSとして作った。昨年ベルリンで行われたカンファレンスに行ったDixは、自分たちと同じことをやっている競合他社が多いことに気付き、これはたいへんだ、と悟った。そのとき彼は、これら競合他社の全員にサービスを提供できるプロダクトを作ろう、とひらめいた。モニタリングソフトが時々刻々捉えていく時系列のデータを集めて分析することは、まだどこもやってない。Errplaneは、そこに機会を見い出した。
そこで彼らは元のSaaSを5週間停止し、その間に、のちにInfluxDBとなるものを作った。その最初のバージョンができたとき、Dixの計画では彼らが住むニューヨークで製品紹介のための講演会を二度やるつもりだった。ところがそれよりも前に、プロジェクトはO’Reilly Radarのブログで取り上げられ、それがHacker Newsに拾われて、まる一日フロントページを飾った。その後いろんな紹介記事にプロジェクトのホームページのリンクが載り、彼ら自身が何か書いたり語ったりするよりも前から、人気が盛り上がってきた。
1月になるとDixは、あちこちでInfluxDBの話をすることで忙しくなった。元のSaaSをこれ以上続けるのは無理、と悟った彼は、3月の末に、顧客たちに、サービスの閉鎖を告げた。
Dixは、彼の会社とプロジェクトの歩みが普通じゃない、と言う。通常なら、デベロッパはプロジェクトを作り、それのための会社を作る。でも今回は、逆だった。会社が先にあって、それのためのプロジェクトとプロダクトを作ったのだ。彼が知っている唯一の同類が、Dockerだ。最初はdotCloudを作っていた会社があり、そこからDocker, Inc.がスピンアウトしたのだ。
Dockerの場合と同じく、コミュニティは重要だ。Dixによると、コアライブラリは自分たちで作ったが、プログラミング用のその他のライブラリはコミュニティの手で作られた。
今のErrplane社はほとんどInfluxDBにのみ集中しているが、今後は商用サービスも始める予定だ。しかし当面は、コミュニティの育成を優先し、“デベロッパの幸福を最適化する”路線を進みたい、とDixは言う。コミュニティに軸足を置く、というそのやり方は、効果を上げているようだ。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))