スタートアップの若者たちと話していると、ちがうよ、われわれはオンデマンド食品宅配スペースのSaaSプレイヤーだよ、などというので、この世界独特の用語があることに気づく。部外者にはちんぷんかんぷんだ。
そこでTechCrunchは起業家初心者や一般読者のためにこのピジン英語の主要な語彙を解説してみようと思う。
前置きはそのぐらいにして、さっそく本論に入ろう。
Acqui-hire〔アクイ・ハイヤー、買収採用〕 – 2000年代中頃にGoogleが発明した優秀な人材の獲得手法。大きな会社が小さなチームのメンバーは優秀だが、追求しているアイディアはバカバカしいと考えたときに実施されることが多い。signing bonus〔採用ボーナス、支度金〕と呼ばれることもある。
Cashflow Positive〔キャッシュフロー・ポジティブ〕 – 一定期間に出ていった金より入ってきた金の方が多いこと。
Pivot〔ピボット〕 – それまでの方針がうまくいかないことを発見したときに起きる現象。シカゴ大学の大学院で公共政策を学んでいたアンドルー・メイソンがスタートさせたThe Pointというオンライン政治フォーラムが、試しにピザの共同購入割引の広告を掲載したのがきっかけでGrouponが生まれたことなどが典型的な例。
SaaS — 金を損する方法の一つ
Pre-Money Valuation〔資金調達実施前評価額〕 – 適当にでっちあげた数字
Post-Money Valuation〔資金調達実施後評価額〕 – 資金調達後にベンチャーキャピタリストと話し合ってでっち上げた数字。バーンレイト〔利益が出る前に資本を消費する割合〕にご注意。
「広報分野に経験あり」 – 「何人かのジャーナリストのメアドを知っています」
Exit〔エグジット〕 – 起業家にとって良いエグジットと悪いエグジットがある。資金を使い果たさないうちに他の会社が買収してくれたら(アクイ・ハイヤー を含む)良いエグジット。ベンチャーキャピタリストの取り分を除いたら後は何も残らないのが悪いエグジット。
「私は連続起業家だ」 – アイディアを2つ実行に移したがどちらも失敗した。
Space〔スペース〕 – フィールドとか分野とかいう代わりに起業家たちはなぜかスペースとい言いたがる。そして自分たちのことをプレイヤーと呼ぶ。競争の激しい分野で特によく聞かれる言い方だ。理由は不明。
VC – 1) ベンチャーキャピタリスト。富裕な個人や機関投資家から資金を集め、手数料を取ってスタートアップに投資する人々。 2) 高純度Opium(阿片)の組織的流通業者。(次項参照)。
Opium〔阿片〕 – OPM 、Other People’s Money〔他人の金〕の略。きわめて中毒性の高い物質だが、無くなるまではまったく注意も敬意も払われない。〔この2項は阿片(オーピアム)とOPM(オーピーエム)のダジャレ〕
「われわれの状態はすばらしい」 – たいていの場合、すばらしくない。
SF / The Valley〔サンフランシスコ/シリコンバレー〕 – ベンチャー・キャピタリストやテクノロジー界の論客が起業家はすべからく引っ越してくるべきだと主張するテクノロジーの聖地。
「われわれは週500%のペースで成長している」 — 先週のユーザーは1人だったが、今日は5人だ。
「現在出資は求めていない」 — 現在出資を求めている。
UI/UX – UI(ユーザー・インタフェース)、UX(ユーザー・エクスペリエンス)の短縮語。多くの場合、デザイン能力に不自由な起業家が根本的に美しくない自分たちのプロダクトを描写する用語。「『ピザ映画専用VHSテープ復活』アプリにはわれわれのデザイン担当のものすごいUI/UXの才能がつぎ込まれている」などという。
「われわれはデザイン志向のチームだ」 – われわれはコードを書くのは苦手だ。
非GAAP基準で黒字 — たいして利益の出てない会社がよくこう主張する。株式報酬費用などを除外した利益の算定には往々にして問題が隠されている。
「私はビジネス担当だ」 – グロース・ハッキングの項参照
重力 — シリコンバレーに存在しない力
3200万ドルのシリーズA資金調達ラウンド – たいてい失敗する
グロース・ハッキング – セールスとマーケティング関係の活動。「ハッキング」と呼ばれるのはコードの書けない人々もシリコンバレーでは「ハッカー」と呼ばれたがるため。
「われわれの粗利益率は非常に高い。SaaS事業への大胆な投資も将来の成長の加速を約束する」 — われわれは赤字だ。
「われわれはSaaS事業の拡大を踏まえて目一杯アクセルを踏み込んでいる。わが社のこの分野で最高の成長をさらに加速するために追加投資を求めているところだ」 — すみません、前回の金は使い果たしてしまいました。もっとください。
「やったぜ!(We’re Crushing It!) – 何をやったのかは知らないが、まず確実にやられたのは夢と投資家の金。.
というわけで、お役にたてただろうか?.
画像:Bryce Durbin
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)