エージェントとのチャットで転職先のオファーを受けられる「ジョブクル」

自分の持っている物を売りたくなったらフリマアプリで、駅から遠い場所から移動したければタクシー配車アプリで、といったように、これまでリアルで行っていた行動はスマホアプリで日々簡単になっているように感じる。今度はエージェントを通じた転職活動もスマホアプリで実現できるようになったという。人材スタートアップのスマイループスは12月7日、転職相談アプリ「JOBKUL(ジョブクル)」の提供を開始した。利用は無料。現在はiOS版のみで、Android版は来春にも提供される予定。

JOBKULでは、ユーザーがアプリ上で性別や生年月日、直近の年収や職種などを登録すれば、その条件に合わせてスマイループスと提携する転職エージェントがマッチングされる。マッチングされたエージェントとはアプリ上のチャットで転職相談が可能で、条件が合えば転職先のオファーを受けることができる。コンシェルジュサービスのような感覚でエージェントとのやりとりができるわけだ。そのほか、自己アピールの動画もアップロード可能。スマイループスでは現在約20社のエージェントと提携している。

サービスを手掛けるスマイループスは2012年12月の設立。これまでには動画による採用選考ツールの「EntryMovie.com」を提供してきた。2013年にはインキュベイトファンドが主催するインキュベーションプログラム「Incubate Camp 6th」に出場。その後ANRI、インキュベイトファンドから資金調達を実施している。金額は非公開だが、数千万円規模だという。

代表取締役の仲子拓也氏が語ったところによると、実は一般的な転職支援サービスでは、エージェントがユーザーに対してスカウトメールを送信した際の返信率はわずか1〜2%だという。またサービスの多くは、登録時の大量の項目に情報を入力する必要があって、そこでの離脱率も決して低くない。PCで登録するのですら大変なのに、それをスマホアプリやスマホ向けサイトにしてしまうと、「そんなに多くの項目を入力をしてられるか!」となりそうだ。

そんな既存サービスの課題もあって、JOBKULではメールではなくチャットによる気軽なやりとりとスマートフォンのプッシュ通知によって返信率を向上させるとしている(目標は返信率10%だそうだ)ほか、登録時の入力項目についても最低限にとどめた。そしてチャットを通じてエージェントがユーザーの情報を聞き、最適なオファーを提示するという仕組みをとったそうだ。「既存サービスをそのままアプリに持ってきても離脱する。僕らは出会う接点を作るだけ。浅いコンバージョンをモバイルに限定して作っていく」(仲子氏)

こう聞くと、多くの情報を入力して転職サイトに登録したユーザーに取ってはありがたい話に聞こえるかもしれないが、課題もある。それは、プッシュ通知自体が増えすぎてスパム化したりするのではないかということだ。仲子氏はその対策として、成果報酬(採用が決まればエージェントから採用人材の年収の数〜数十パーセントを報酬としてもらう)以外のビジネスモデルも検討しているという。同社では初年度1000人の転職を目標にしている。


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TechCrunch Japan

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