2014年に「モンスターストライク(モンスト)」でスマホゲーム業界を席巻したミクシィ。同社は1月8日、「DeployGate」の事業譲渡について発表した。DeployGateの事業責任者であった藤﨑友樹氏が新会社デプロイゲートを設立して代表取締役社長に就任。ミクシィがデプロイゲートに事業を譲渡する。
DeployGateは、iOSおよびAndroid開発者向けのテスト版アプリ配信サービス。2012年9月にサービスを開始している。当時のミクシィは、モンストのリリースでかつての勢いを取り戻す以前、SNS「mixi」がそのプレゼンスを失いつつある状況だった。同社はその状況を打開すべく、新規事業創出セクションの「イノベーションセンター」を立ち上げて幾つかの新サービスを展開していた。DeployGateはここから生まれたサービスの1つだ。ちなみにフォトブックサービスの「ノハナ」(のちに子会社化)やポイントサービスの「PoPolly」、カットモデルと美容師のマッチングサービス「minimo」、さらには今はなき洋服の定期購入サービスの「Petite jeté(プティ・ジュテ)」もここから生まれた。
ミクシィによると、「現在の事業スピードでは、事業継続が難しいと判断した」とのことで、DeployGate事業のピボットや終了などを検討していたが、事業責任者の希望で事業譲渡を決定したという。スピンアウトといってもさまざまなケースがあるが、少なくとも事業に関わる人達としては前向きな姿勢ということだ。なお、新会社のデプロイゲートとミクシィには資本関係はないという。また、イノベーションセンター発の他事業に関しては、現時点でのサービス終了等の予定はないほか、今後も新規事業には注力していくとしている。
ミクシィの直近の業績(2014年度第2四半期(2014年7−9月)を見てみると、モンストを中心としたコンテンツ事業が194億4700万円と圧倒的な割合を占める一方でDeployGateを含む「その他事業」の売上は8200万円、損失は1億1500万円となっている。その他事業のうちDeployGate単体での業績は開示していないので詳細はなんとも言えないが、事業の選択と集中、スピード感を持った成長という観点ではやむを得ない判断なのだろう。ただひとこと付け加えておくと、僕が以前に数人の開発者に聞いた際、DeployGateの評判は非常に良かった。
ちなみにモンストが好調すぎるために見落としがちだが、求人広告やマッチングサービスなどを含んだライフイベント事業も順調に成長している。2014年度第2四半期の売上は14億9700万円(利益は1億800万円)で、LINEからマッチングサービス「YYC」などを買収して子会社「Diverse」を設立した2013年第3四半期以降、着実にその数字を伸ばしてきている。