デジタル配信が、インディーズ映画の観客を変える


編集部注:David Larkinは、映画の検索・キューサービスで映画マーケティング、分析のプラットフォームでもある、GoWatchit.comのファウンダー・CEO。The Sundance Instituteのパートナーも務める。

自己表現を奨励するカルチャー、低利息の余剰資産を大量に生みだす経済、ムーアの法則のように1ドル当たり性能が改善される生産技術、デジタルメディアのオンデマンド配信の普及、文系卒業生の慢性的就職難。以上を組み合わせると何が起きるか。映画の本数が増える

Sundance映画祭には、毎年約4000作品の応募があるが、上演枠は120ほどしかない。短編映画はさらに狭き門だ。2014年、短編の候補作品は2倍以上あったのに、選出されたのは半数だった。

その120本の中には、多くの注目を集める作品もある。今年のアカデミー賞候補、BoyhoodWhiplashはSundanceで初上映された。

初めて映画を作る者にとっては、上映される作品数の少なさだけでなく、“Sundance Kid”本人(ロバート・レッドフォード)がいる会場で、誰かに注目されることの難しさという意味でも、激しい競争に曝される。

よって、友達や家族に映画を作りたいと言って金を借りようとすれば、必然的にこう聞かれる。「そもそも誰があなたの作ったインディー映画を見に行くの?」

元気を出してほしい、勝算はある。Sundance Instituteは、映画と観衆をつなぐ手助けをしている。その一環として、昨年の長編映画全作品を追跡した、Sundance class of 2014を作った。

Liam Bolukは、デジタル技術の普及がいかに映画業界の経済をひっくり返したかを分析した。過渡期のどの産業とも同じように、新しいプレーヤーが出現しつつある。

RADiUS-TWCThe OrchardAmplify、およびBroadgreenといった会社は、伝統的コスト構造や組織図に縛られていない ― そしてデジタルツールを巧みに使って観衆を集めている。そしてSundance InstituteのJoseph Beyer、Chris Horton、およびMissy Laney率いるアーティストサービスプログラムは、映画製作者が配給計画を立て、実行するための強力な社内リソースを構成した。

より多くの映画が配給されるようになった ― ただし、それを喜ばない人々もいる。

映画製作は、芸術とビジネスの奇妙な融合であり、それぞれの映画は芸術作品になることを熱望するビジネスであると同時に、ビジネスになることを願う芸術作品である。

Sundanceでは、芸術性が強調され、それはあるべき姿である。

この精神に基づき、われわれの関心事は映画がどれだけ稼いだかではなく ― 大成功したものもあるが ― 作られた映画の何本が見られたかにある。

その答は? 殆どだ。

*データ提供元:GoWatchIt

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


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TechCrunch Japan

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