ファッション通販にありがちなのがサイズ選びの失敗。特に初めて買うブランドの洋服が、自分の体型に合っているかは賭けに近かったりする。だったら、愛用ブランドのサイズ感をベースに、好きなデザインや素材でカスタマイズした洋服を買えばいい、というのが「ラファブリックス」だ。
ユーザーはサイト上で、アウター、インナー、パンツごとに、ふだん着ているブランドのサイズを選択する。例えば、インナーでユニクロの「M」サイズを着ているユーザーであれば、そのサイズ感でシャツをカスタムオーダーできるわけだ。
便利なのは「ユニクロのMで身幅はちょうどいいけど、肩幅をもう少し狭くしたい」みたいな微調整が可能なこと。このほかにも、首回りや二の腕、ウエスト、ヒップ、パンツ丈、太ももなど14項目を1cm単位でカスタマイズできる。
デザインや生地のカスタマイズにも対応する。例えば、デザインは襟やポケットの形、裏地の色を変更できるし、生地は日本製やインポート物の中から好きな素材を選べる。なので、サイズには不満は無いけれど、デザインや生地がもっとこうだったら欲しい、というニーズも満たせそうだ。
現在はユニクロのほかにH&MやZARA、セレクトショップはUNITED ARROWSやビームスプラス、スーツメーカーはSUIT COMPANYなど、十数ブランドのサイズを収録したデータベースを構築済み。
今後も対応ブランドを増やすそうなので、ふだん着慣れているブランドのサイズ感で、デザインや生地にこだわった1点モノの洋服がオーダーしやすくなりそうだ。
オーダーメイドスーツECからのピボット
TechCrunchを毎日見ている読者なら覚えているかもしれないが、ラファブリックスは昨年2月、フォーマルなスーツやシャツのオーダーメイドECとしてスタートしている。
当時は、いくつかの質問に答えるだけで最適なサイズを提案する「フィットアルゴリズム」を通じて、日本人体型に合うスーツやシャツが注文できることを売りにしていた。引き続きスーツやシャツも扱うが、カジュアル路線強化はピボットのようにも取れる。
この点について、サービスを運営するライフスタイルデザインの森雄一郎社長は、「オーダーメイドスーツを買う層はそもそも、ECでモノを買わない傾向があった」と過去の失敗を振り返る。
さらに言えば、そもそもユーザーが入力したデータに基づいて、サービス運営側からサイズを提案するコンセプトは「満足度に個人差があった」と語る。「時として、提供者側のエゴでもあった」。
これに対してリニューアル後のラファブリックスは、顧客の価値観で「普段着るブランドとサイズ」を選べるため、「本当に自分に合った服を着たい」というニーズを実現できると説明。カジュアル路線を強化したことで、顧客層も広がると自信をのぞかせている。
価格面での優位性もあると、森氏。日本全国のアパレル工場をネットワーク化し、縫製や生地の相性やミシンの稼働率に応じて最適な工場へ発注することで、商品の価格を抑えているという。この仕組みは、全国の印刷会社をネットワーク化し、印刷機の非稼働時間を有効活用することで印刷費を抑える「ラクスル」にも似ている。
商品価格帯(いずれも税・送料込み)の一例を挙げると、フォーマルではホワイトシャツが6800円、ブラックスーツが1万9800円、カジュアルではコットンジャケットが2万9800円、ブルージーンズが3万4000円となっている。