テック業界の中心地であるシリコンバレー、そしてアメリカ全土において、今までにないほどの金額が企業に投資された。コンシューマーも法人もオンラインサービスを利用することが増え、投資家も次の大きなトレンドとなりそうな企業に資金を投入しているのだ。このトレンドの波はアメリカ国内に留まらないようだ。新しい調査報告によると、ロンドンでは、2015年の最初の3ヶ月で6億8250万ドルが企業に投資された。これは昨年の同時期より66%も多く、また昨年のQ4に達成した4億1162万ドルを軽く超える結果となった。
このベースで進めば、ロンドンのスタートアップは年間で20億ドル規模の投資が企業に対して行われることとなる。
London & Partnersが算出したこの数字に対し、ロンドンのビジネス開発グループを率いる市の担当者は、イギリスにおいてテックエコノミーがいかに突出しているかを指摘した。イギリス全土でのQ1の投資額は8億5670万ドルで、テック業界への投資額6億8250万ドルは、全体の80%ほどを占めている。
また世界規模でも投資額の偏りを指摘した。2014年、ロンドンのスタートアップは13億5000万ドルの投資を受けたが、National Venture Capital Associationによると、アメリカに拠点を置くインターネット企業は119億ドルもの資金をVCから受け、同様にアメリカのソフトウェア企業も198億ドルの投資を受けた。これは過去最高額であった。
ロンドンはヨーロッパの中でもテック系スタートアップへの投資を率先して行っているが、アメリカほどの市場にはまだ到底及ばないのだ。スタートアップの数もそれらに投資したいという企業もどちらもまだ少ない。
しかし、それでも2010年の段階ではロンドンのスタートアップはたった1億100万ドルしか資金を得られなかったことを考えたら、急成長を遂げたと言える。
CB Insightsのデータを用いているLondon & Partnersは、Q1最大額の投資を獲得したのは、送金事業を行うWorldRemitであったと報告した。彼らは2月のラウンドで1億ドルの資金調達を達成している。
「ロンドンはテクノロジーのハブもありながら、金融サービスのハブでもあります。Fintechのスタートアップを始めるにはうってつけの場所です」とWorldRemitのファウンダーでCEOのIsmail Ahmedは、声明でそう伝えた。「この都市には、世界でも優秀な人が集まっていて、タイムゾーンも同じ日のうちにアジアとアメリカと連絡が取れる便利な場所です。国際送金サービスを行う私たちにとって、このような要素は魅力的でした」。
主要な金融セクターとして機能するこの都市において今までもFintechのスタートアップは成功を収めてきた。他のスタートアップ企業には、 今期Andreessen Horowitzから5700万ドルの出資を受けたTransferWiseがある。Andreessen Horowitzは仮想現実体験を作る開発者用のプラットフォームのImprobableに2000万ドルを出資している。
Blipparも4500万ドルをQ1に出資を受けたので、仮想現実の分野では大型の投資が2件行われたことになる。
ロンドンで他に注目を浴びている分野はEコマースだ。中でも小売とファッションのジャンルだ。小さいブティックのお買い得情報をまとめるサービスのFarfetchは、DSTを筆頭に8600万ドルのラウンドを達成した。
「今期はロンドンのテクノロジー開発にとって、とてもエキサイティングなものでした。この首都を拠点とする企業が、テック業界で高名で影響力のある投資家から大規模な出資を受けています」とVCのPassion Capitalのパートナーを務めるEileen Bribidgeは声明で伝えた。「ロンドンは、世界でも有数の勢いのあるテクノロジーハブです。独創性と企業家精神にあふれたこの街は、企業と投資家を惹きつけ、また優秀な人材も集まっています。市場へのアクセスも申し分ありません」。
ロンドンのテック業界の成長は、人材採用の流れも生み出している。
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