6000万ドルを新たに調達したFiverrのCEOにインタビュー。「市場開拓に最適な時期」と話す

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今週、小規模なサービスのオンラインマーケットFiverrは、Square Peg Capitalが牽引するラウンドで6000万ドルを調達したことを発表した。以前の投資ラウンドに参加したBessemer Venture Partners、Accel Partners、Qumra Capitalも今回のラウンドに参加した。同社はこれまで累計1億1000万ドルの大金を調達したことになる。

私たちは先日、ファウンダーでCEOのMicha Kaufmanと話をし、それらの投資家が投資した事業について、設立して5年目のFiverrが料金設定を変更した理由と経緯、そしてIPOが視野にあるのかどうかについて聞いた。以下のインタビューは長さの関係で編集を加えている。

TC:まず初めに、現在のFiverrの会社の規模を数字なども合わせて教えてください。

MK: 5つのオフィスに200名超の従業員がいます。ここテルアビブ、ニューヨーク、シカゴ、マイアミ、サンフランシスにオフィスがあります。Fiverrでは月に100万近くの取引が行われています。私たちは労働マーケットプレイスではなく、純粋なEコマースの会社です。カタログビジネスなのです。

TC:FiverrのシカゴオフィスはCuban Councilという小さなデザイン会社のアクイ・ハイヤーを元に構成されていますね。Googleもそこから人材を採用していたそうですね。

MK: その通りです。GoogleはCuban Councilのビジネスを部分的に買収し、私たちはファウンダーとチームの数人を獲得して、才能あるデザイナー陣で自社のスタジオを開設しました。

TC: 銀行口座に6000万ドルあって、これからより大規模な買収も検討しているのでしょうか?現在、他にもフリーランサー向けのサービスを提供している企業は多くありますがどのように考えていますか?

MK: 買収は私たちのグロースを加速させる一つの方法だと考えています。特定のカテゴリーや私たちの中核となるビジネスのマーケットシェアを拡大できるような直接関連のあるビジネス、例えば、Eコマースやレコメンドシステムなどのビジネスは買収の視野に入ります。

マクロのレベルでは、私たちの分野でもEコマースで起きているのと同じことが起きるだろうと考えています。スタートアップが2つに分かれたり、マーケットの中でM&Aを通じて統合や事業縮小などが見られるでしょう。しかし、それでもフリーランスの仕事の97%はオフラインで行われています。オンライン上にいるのはほんの少数なのです。このマーケットはまだとても成熟したものとは言えず、マーケットシエアを巡って熾烈に争うほどではないのです。今は、市場を開拓していくことが先で、可能性は広がっています。

TC: Fiverrではフリーランサーがクライアントから得る報酬設定を変えるそうですね。どのように変わるのですか?そして、何故そうしようと考えたのですか?

MK: 私たちがサービスを始めた時、価格交渉はユーザーの負担であり、全ての仕事を5ドルに設定することにしました。フリーランサーは自分自身で5ドル分のちょっとした仕事を設定し、仕事にあまりに多くの時間をかけないよう調整するだろうと考えました。その後、価格設定を解放し、フリーランサーがさらに高付加価値のサービスを提供できるようにしました。サービスを5ドル以上の設定にすることができるようにはしましたが、基本料金は5ドルのままで、そこから高価格の商品も販売できるというものです。

今回新たに作ったコンセプトは、フリーランサーが提供するサービスを自身でパッケージ化して提供できるようにするものです。フリーランサーは提供するサービスの内容と価格を設定することができ、購入者はそれを見て購入するかどうかを決定することができます。購入者はサービスを探し、サービスのプランを決めて購入します。私たちは労働市場をEコマースのビジネスに変えました。

TC: 例えば、ある人がボイスオーバーをパッケージ化したサービスを提供する場合、Fiverrのプラットフォームの他のボイスオーバーのアーティストが提供するサービスと類似した価格にすべきなのでしょうか?

MK:いいえ。販売側は自分のサービスの価格を自由に設定できます。

TC: 今回の変更は、「プロの販売者」がさらに広範なサービスを提供するツールを提供するためと話していましたが、それはどういう意味ですか?

MK:Fiverrは徐々に高価格帯のサービスを提供する方向に進んできました。最初はアマチュアやムーンライター(夜だけフリーランスの仕事をする人)のサービスとして始まりました。それから徐々にプロのフリーランサーを惹きつけ、それと同時に小規模、そして中規模の法人の購入者を惹きつけることができました。現在購入者の4分の3は法人で、私たちのサービスを通じて様々な仕事の依頼を行っています。最初はロゴデザインの仕事を依頼し、次にウェブサイトの製作を依頼し、コンテンツを書く人が必要になってそれを依頼し、さらにはプロダクトのデモ動画の作成を依頼するといった具合です。私たちは、全員がさらに多くの仕事がこなせるように手助けをしているのです。

TC:Fiverrは取引毎に手数料をいくら得ているのですか?

MK: 20%を得ています。

TC: 現在プラットフォームにある最も高額な仕事はどのようなものですか?

MK: それは販売者とその人の経験によりますが、1万ドルで洗練されたウェブ開発の仕事を請け負う人もいます。他にも高品質のグラフィック、デザイン、音楽製作の仕事の依頼ができます。それでも他の選択肢よりは手頃な価格でしょう。

TC:現在Fiverrを利用しているフリーランサーと購入者の数はどれくらいになりますか?

MK: そのような数字は開示していないのですが、私たちの収益は去年に比べて2倍以上のグロースを達成しています。会社を創業してから2500万の取引が成立し、ここ12ヶ月でその3分の1が起きました。

TC:この資金調達を経て、将来的にはIPOを考えているのでしょうか?

MK:上場することは選択肢の内の一つですが、選択肢はそれだけではないと考えています。今のところ私たちはできるだけ素早くグロースを達成することに集中し、選択肢を増やしたいと考えています。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

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TechCrunch Japan

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