HTTPプロトコルの新しい上位規格HTTP/2は、今年の前半にやっと確定した。でもそれは、アプリケーションレベルというよりインターネットのインフラに関わる規格なので、早急には普及しない。しかしこのほど、ユーザ数のたいへん多いWebサイト最適化サービスCloudflareが、デフォルトでは全ユーザ(無料ユーザとProユーザ)にこの新しいプロトコルを使うことになったため、一挙に採用が進むと思われる。なお、大規模ユーザには、オプトインのオプションがある。
CloudFlareのCEO Matthew Princeによると、今回の同社の決定によって、Alexaの上位サイト100万のうちのHTTP/2採用サイトの75%が、CloudFlareによってHTTP/2化したサイトになる。
“インターネットの低レベルプロトコルは1998年以来変わっていないから、弊社がこの、インターネットの未来を担うプロトコルを推進する大きな力になれることを、たいへん喜んでいる”、とPrinceは述べる。
Cloudflareがひそかにこのサービスを開始したのは先週のことで、今では400万のユーザと世界中の70箇所のデータセンターが、無事にプロトコルの切り替えを行った。“ユーザを地域やタイプで細かく分割しながら、徐々に段階的に進めたので、全ユーザにグローバルに可利用になった時点では、問題なく動くことが事前に分かっていた”、とPrinceは語る。
HTTP/2はかなりの部分が、GoogleのSPDYをベースにしている。それは接続を大幅に高速化し、今のHTTP/1.xと違って、大量のオブジェクトをブラウザへ並列でストリームすることが、ずっと容易に極小のオーバヘッドでできる。
Cloudflareは、今でもSPDYをサポートしている。Princeによると、SPDYをいきなり完全にHTTP/2に切り替えると、むしろスピードが劣化するからだ。 “一部のプロバイダはSPDYを破り捨ててHTTP/2に乗り換えたが、今だにSPDYを使い続けているブラウザも多いのだ”、とPrinceは述べる。
では、HTTP/2をHTTP/1.xによる接続と比べると、どれだけ速いのか? Cloudflareによると、同社のネットワーク上ではページロードタイムが平均3秒速くなった。ただしSPDYとHTTP/2の差は、あまりないそうだ。
CloudFlareは、同社のBusinessおよびEnterpriseクラスの顧客には、HTTP/2のデフォルト提供をしていない。Princeによると、インフラのコントロールを完全に企業が手中に収めていたいという意向のユーザには、強制的なデフォルトではなく、オプションで提供していく、ということだ。しかし来年以降は、これらのクラスも含めて新規ユーザの全員をデフォルトでHTTP/2にしていく予定だ。