Googleは、Android Watchのスマートウォッチプラットフォームを2年以上前にローンチした。これまでに12社以上のブランドが採用し、100以上のウォッチデザインがある。本日Googleは、Android Wearバージョン2.0を発表した。これまでで最大のプラットフォームアップデートだ。
GoogleはWear 2.0の開発者プレビュー版をI/Oでリリースしたが、最新バージョンを全てのユーザーが利用できるようになるのは秋頃になる。
GoogleのAndroid Wearの開発VPを務めるDavid Singletonは、ウォッチを市場に投入してからしばらく経ち、機能の改良に注力するため、ユーザーがどのようにウォッチしているかを注意深く観察したという。最新バージョンには「デザインとシステム全体にまたがる包括的なパス」を与え、ユーザーに情報の一覧表示、改良されたメッセージツール(キーボード、手書き認識、スマート返信機能への対応を含む)、そして新たなフィットネスとウェルネス機能を提供するという。
マテリアルデザイン
最も分かりやすい変更点は、Googleの マテリアルデザインの哲学をAndroid Wearにも持ち込んだことだろう。
これにより、デザインはより洗練されたように感じる。Singletonは、他のプラットフォームに適応しているマテリアルデザインのガイドラインをそのままAndroid Wearに適応したのではないと言う。Googleのチームは必要な調整を行った。具体的な部分では、丸いAndroid Wearウォッチの画面の曲線に合うように内容を表示する。
ナビゲーションがあるのは必ず画面の上で、通知は下に表示する。情報は常に画面の中心に位置するようになった。
また、今回のアップデートは色使いに注意を払っているという(例えば通知は、その通知を出したアプリの主要色を使用するなどだ)。
ウォッチフェイス開発
ウォッチフェイスもWear 2.0でアップデートした。新たな Complications APIのおかげで、ウォッチフェイス開発者は、他のアプリからの情報をウォッチ画面に表示するのに統一APIを使用することができるようになる。現在、これらの開発者はカレンダー、 Google Fit、Strava、Spotifyなどの情報を使用する場合、個別の機能連携が必要だった。開発者は、サードパーティの機能にウォッチフェイスの場所を割り当てることができるようになる。ユーザーは必要に応じてそれらを調整できる。一方のアプリ開発者は、どのデータをウォッチフェイス開発者に提供するかを決めることができる。
Singletonは、このAPIでGoogle Drive、MicrosoftのOneDriveや他のサービスから画像を取得することも可能と話す。
メッセージ機能
ウォッチフェイスも興味深い改良点だが、Singletonによると、Googleのチームがユーザーがどのようにウォッチを使用しているところを観察したところ、メッセージでのやりとりはほとんどなかったという。そこでWear 2.0では、メッセージのやりとりの体験を大きく改善することに注力したと話す。
現行バージョンのWearでは、メッセージはページ下の展開パネルに隠されている。今ではウォッチが鳴ると、メッセージが全画面で表示され、すぐにやりとりを開始することができる。(鳴った時に確認できない場合、次にウォッチを起動した時に相手のアバターを確認することができ、メッセージを受信したことがわかる)。
最大の変更点は、メッセージへの返信方法だ。これまでスワイプして返信していたが、今はメッセージをタップするとWearはミニアプリを表示し、ユーザーにより多くのデータと可能なアクションを提示する。
スマート返信
Googleのチームは前からある音声と絵文字の返信の他に、新たな返信機能を3つ加えた。 Inbox by Gmailと同じGoogleの機械学習によるスマート返信がその1つだ。受信したメッセージに対して自動で3つほど返信の選択肢を生成する。
キーボードを搭載
Wear 2.0はさらにキーボード機能を搭載した。ウォッチ画面の大きさからして、このキーボードは本当に小さいものだ。そのため、どれだけこのキーボードが便利なものかはまだ分からない。Googleは自社製のスワイプ入力のキーボードを提供するが、SingletonはAndroid Wearではサードパーティー製キーボードも利用できるようになると話す。
Singletonは、Wearが2年前にローンチした当初からこの機能を検証していたと話す。しかし、ソフトウェアもウォッチ自体の速さも信頼性も十分ではなかった。現在、Google の機械学習の発展により、1つ2つ単語を入力するとキーボードは次の言葉を予想できるようになり、ウォッチでの文字入力に時間がかからなくなったという。
最初にGoogleがこの機能を試した時、ほとんどのユーザーは1分間に数個の単語しか入力できなったそうだ。Singletonは今では「1分間に数十の単語を入力できる」という。Googleのテスターも早く入力できると報告している。個人的に、このキーボードを頻繁使用することはないように思うが、実際に使う時まで批評はしないでおこう。
手書き認識
Wear 2.0には手書き認識機能もある。読者の想像通りの機能だろう。文字を書いたり、つなげて単語を入力したりできる。このテクノロジーはGoogleがAndroid用に製作した手書き入力ツールをベースにしている。
フィットネス
他のどのスマートウォッチのプラットフォームと同じように、Android Wearはユーザーのフィットネスを数値化する機能を押し出している。「ユーザーはウォッチに良いコーチになることを望んでいます」とSingletonは話す。「良いコーチはユーザーが何をしているかを把握し、適切な情報を適切なタイミングで提供します」。これを行うのに、Android Wearは新たなFit Platform Activity Recognition APIを搭載し、ユーザーが何をしているかをよりよく理解する。これで例えば、ユーザーが歩いているか、走っているか、サイクリングしているかなどがわかる。データに基づき、ウォッチは適切なアプリを自動で起動する。例えば、ユーザーがサイクリングを始めたなら、自動でStravaを起動するといった具合だ。
タップの回数が減る上、運動をより厳密にトラックできるこの機能は結構便利かもしれない。
スタンドアローンアプリ
メッセージ、フィットネス、新デザインがWear 2.0の主要な改良点だが、Googleのチームは他にも細かい機能をいくつか加えている。例えばアプリはスマホを経由せずにネットワークにアクセスできるようになった。つまり、アプリをウォッチに直接インストールできる。LTEを内蔵したAndroid Wearウォッチを持っているのなら(LGの最新Watch Urbaneなど)、Spotifyをつけるとクラウドから直に音楽をストリームして、Bluetooth経由でヘッドセットに流すことができる。走る時にスマホを携帯しなくてもいい(バッテリー時間は心配だが)。
それはそれで便利だが、これはiPhoneユーザーにとってもAndroid Wearウォッチを訴求できるポイントだ。これまでほとんどのWearアプリはスマホがなければ全機能を利用することができなかった上、AndroidとiOSの違いがこれをより大きな課題にしていた。
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