中国が、モバイル番号の登録をすべて実名で行わせる取り組みを再開している。国営の通信社China News Service(Google Translateからのリンク)によると、政府は中国でSIMカードを購入する者は、外国人も含めて全員、パスポート等の本人証明を提示すべし、と布告した。
その記事によると、今現在1億以上のSIMカードが実名で登録されていない。かねてから中国のMinistry of Industry and Information Technology (MIIT, 中華人民共和国工業情報化部)は、6年以上使用するモバイル番号を取得する際は実名を用いるべし、としている。MIITは、実名による登録はインターネットユーザーをオンライン犯罪から守る、と主張しているが、しかしもちろん、それにより検閲がやりやすくなる。
実名規制の実施の開始にあたってMIITは、中国の三つの通信企業、China Mobile, China Unicom, およびChina Telecomに、この規則を守らせようとしていた。そして2012年には、人気のマイクロブログサービスSina Weiboに命じて、ユーザーのアカウントにIDカードやモバイルフォーンの番号を伴わせるようにした。その後TencentのWeChatがSina Weiboの人気を上回るようになると、国はすべてのメッセージングサービスに対して、ユーザーの実名登録を義務付けた。
さらに最近中国政府は、オンライン決済サービスのAlipayとWeChat Payに対して、7月1日までにユーザー名にID番号または中国本土の銀行口座情報を付随させよ、と命じた。
しかしこれまでの6年が何かを語っているとするなら、中国は今後も依然として実名登録制の実施に困難を抱え続けるだろう。なによりもまず、偽のID番号や名前を使って規則を出しぬくことが、簡単にできる。そのことを、Tech In AsiaのCharles Custerも指摘している。
ユーザーではなくサービスを提供するテクノロジー企業に強制しても、あまり効果はない。そもそも、彼らの何億というユーザー全員のアカウントを彼らの本人性に結びつける作業は時間と費用がかかりすぎてほぼ不可能であり、彼らのビジネスに負の効果をもたらすこともありえる。たとえばSina Weiboの場合は、実名登録規則以降、ユーザーの新規登録が落ち込んだと主張されている。