グノシー越えを狙うーーStockMarkは今読むべき「積読」記事をレコメンドするブックマーク管理アプリ

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SNSやキュレーションメディアの台頭で人が接する記事情報は処理しきれないほどに増えてしまった。一旦読みたい記事をブックマークサービスに保存してみても、お目当ての記事を検索するのが手間だったり、そもそも何の記事を保存したかを覚えていなかったりすることもある。今回紹介する「StockMark」は、ユーザーがPocketやはてブなどのブックマークサービスに保存した記事を読み込み、人工知能を駆使してユーザーに最適なタイミングで保存した記事をレコメンドするアプリだ。StockMarkは、増えた記事情報を簡潔に整理すること、そして最適な時間帯に最適な記事をレコメンドすることでパーソナライズした記事体験を提供することを目標としている。

Share extension

Share ExtensionからStockMarkに記事を保存

StockMarkは、Pocket、Evernote、はてなブックマークのアカウントと連携し、それらのサービスに保存した記事を取り込むことができる。他にもTwitterで「いいね」した記事やFeedlyで「Saved for Later」に追加した記事も取得可能だ。また、アプリは「Share Extension」にも対応していて、これを利用することでモバイルブラウザで見ている記事を直接StockMarkに保存することもできる。普段記事を読んでいるのがPCだろうと、モバイルだろうと、全てStockMarkに集めることができる仕組みだ。

他サービスとの連携が完了すると、StockMarkは保存記事のカテゴリーやキーワードといった情報を解析してユーザーのプロフィールを作成する。StockMarkの「プロファイリング」画面では、累計記事本数、いつも読んでいるメディアやカテゴリー、頻出キーワード、ストックしている時間帯などをグラフで見ることができる。累計データと1週間ごとのデータが表示できる。下記のアナリティクスは、実際に私のブックマークした記事のデータだ。あまり意識しないで記事を選んでいるが、改めてデータで見ると何に自分が関心を持っているか客観的に分かって面白い。

analytics

記事のプロファイリング画面

StockMarkの特徴は「スマートカテゴリー」と「スマートビュー」画面にある。「スマートカテゴリー」では記事を自動で分類してカテゴリーに納めてくれるので、その時読みたいカテゴリーから記事を探すことができる。「スマートビュー」では、ユーザーのプロファイリング情報を元に、ストックした記事の中から、曜日別、さらには1日でも時間別(朝、昼、夕方、夜)でオススメ記事をレコメンドする。「ユーザーの読みたい記事は変化します」と、StockMarkチームを率いる林達氏はこの機能を実装した理由について説明する。例えば、月曜の朝は仕事に関係するニュース記事をチェックし、金曜の夜は週末の予定を決めるのにレジャー関連の記事を見るなど、1週間の中、さらには1日の中でも読みたいものが変わるということだ。また、記事の管理ができる「マイストック」画面では、人工知能が記事の重要な文章を判断して抜き取った要約機能がある。記事によってはうまく抜き出せていないこともあるが、その記事のおおよその内容を知りたい時には便利かもしれない。

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左からスマートカテゴリー、スマートビュー、マイストック画面

「グノシー」より良いアプリを作る

StockMarkを率いる林氏は東京大学出身で、昨年まで大手商社に勤めていたという。同じ東京大学出身のファウンダーが立ち上げた情報キュレーションアプリ「グノシー」を見て、自分たちならもっと良いものが作れると感じたのがStockMarkを制作する1つのきっかけになったそうだ。

「モバイル経由で人は大量の情報を受け取っていますが、それをうまく管理できていません」と林氏は指摘し、StockMarkはそれを解消するのが目的という。ただ、このアプリは万人向けではなく、ブックマークサービスに記事を多く登録する傾向にある編集者やライター向けを意識しているそうだ。実際、そういったユーザー層に支持されていると林氏は言う。今年4月にStockMarkをリリースし、これまでに3万ダウンロードを達成した。iOS 10対応も含め、9月上旬にはUIを見やすく刷新し、年内には10万ダウンロードの達成できるよう注力していくと林氏はいう。

アプリは無料で使えるが、林氏はマネタイズについて保存可能な記事本数や他サービスとの連携数に応じた従量課金、あるいは広告モデルを検討しているという。ただ、現時点で最も力を入れているのは、「ユーザーの興味関心を集めたデータベース」を作り上げることだという。これまでユーザーの興味関心を探るには、記事のインプレッション数や検索エンジンでの検索ワードを分析するのが主流だった。しかし、そういった情報より、ユーザー自身がブックマークした記事の方がユーザーの興味関心を正確に表すだろうと林氏は考えている。StockMarkは「ユーザーの興味を最も把握しているサービス」を目指し、それに基づいたレコメンドエンジンに磨きをかけていく計画という。今現在StockMarkは4名のチームで運営しているが、年内には法人登記を行い、資金調達にも動く予定だという。

StockMarkのiOSアプリはここからダウンロードできる。

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。