この記事はCrunchNetworkのメンバー、で作家、コメディアンのSarah Cooperの執筆。Cooperは風刺的ブログのTheCooperReview.comを運営している。以前、Googleドキュメントのデザイン責任者を務めたことがある。現在は企業を舞台にしたユーモアの執筆と講演に力を注いでいる。CooperのFacebookとInstagram。以下の記事はCooperの近刊、 100 Tricks to Appear Smart in Meetings
(『会議で頭が良さげに見せる100のトリック』 10月4日 Andrews McMeel刊)からの抜粋会議やブレーンストーミングの席でなにか新しいアイディアを考え出さねばならないという圧力はときに息苦しいほどになる。幸か不幸か、たいていの場合、会社が求めているのは新しいアイディアではない。
本当は無意味な暇つぶしであるこうしたミーティングで重要なのは「そこにいること」だ。その過程で「他人が出したアイディアを自分のアイディアのように思わせる」、「ミーティングの効果を疑うような発言をして自分がその場のリーダーであると印象づける」ことができれば理想的だ。
以下、あなたがそのグループの創造力の源であると思わせるのに役立つ 9つのトリックを紹介しよう。
- 水を取りに行きながら「誰かなにか要る?」と尋ねる
ミーティングが始まる前にすかさず立ち上がって「誰か何か要る?」と尋ねる。メンバーはあなたが思慮深く親切で気前がよい、と感じる。その上、一切の言い訳を必要とせず、10分間席を外していることができる。 誰も何も欲しがっていなくても、ミネラルウォーターや清涼飲料水のペットボトルと適当なスナック類を持ち帰ること。
メンバーはどうしてもその飲み物、食べ物に手を出すことになり、その過程で皆はあなたの先見性に感じ入る。
- 粘着パッドに何か図を描き始める
ミーティングのテーマが説明されたら粘着パッドの大きいのを一枚剥がしてなんでもいいからフローチャートみたいな図を描く。 同僚は自分たちがまだテーマをよく飲み込めないでいるうちにあなたが即座にかくも複雑なアイディアを思いつけたことを不安な面持ちで盗み見ることになる。
- あまりくだらないので考え深か気に聞こえるような比喩を持ち出す
皆が問題を定義しようと努力を始めたら、ケーキを焼くとか、そのようなわけのわからない例えを持ち出す。同僚は当面の問題との関連が全然理解できなくともともかく同意のうなずきを示すはずだ。わけがわからないことを言われると人は完璧に自分のレベルを超越した創造的なアイディアの持ち主なのだと思ってしまう。あなたがケーキが好きなだけだということは気づかれない。
- 「それは正しい質問かな?」と質問する
問題が難しくなってきたとき、質問の意義を疑う質問をすることほど質問者の頭を良さ気に見せるものはない。万一誰かが「われわれの質問が正しい質問かどうかってそれはどういう質問?」と質問の意味を尋ね返してきたときには「それがまさに私が質問したかった点だ」と答えよう。
おまけ:些細に過ぎるアイディアをけなす方法
自分は考えのスケールが大きいゲームチェンジャーだというように振る舞っているときにスケールの小さいアイディアに悩まされそうなときがある。
以下のようなフレーズが対策として有効だ。
- それはディスラプトするかな?(But how is it disruptive?)
- 10倍にスケールできる?(Is this 10x?)
- それが未来というものだろうか?(Is this the future?)
- それはダメだったはずだと思う。(I thought that was dead.)
- 決定的な勝利なのか?(What’s the big Win?)
- Appleがもうやってないか?(But isn’t Apple doing that?)
- イディオムを使って質問する
イディオムを使って質問の形でけなすのはスマートで有効な方法だ。こういうイディオムの中から選ぶのがよいだろう。〔いずれも「それは無用だ、かえって悪化させる」の意〕
- ユリをさらに金メッキで飾ることにならないか?(Isn’t that gilding the lily?)
- 豚に口紅では?(Isn’t that putting lipstick on a pig?)
- クソ団子を磨くようなものだ(Seems like we’re polishing a turd.)
- アイディアが湧き出すきっかけになるようにみえるとっぴなクセを身につける
「考える助けになる」とか「アイディアが沸いてくるんだ」というようなことをいってとっぴなクセを披露する。パジャマ姿で現れる、床にあぐらをかいて沈思黙考する、その場でジョギングする、ボールを壁にぶつける、スティックをデスクの引き出しから取り出してドラムを叩く真似をするなどいろいろ考えられる。複数を混ぜて実行してもよい。 アイディアは出て来なくても同僚はあなたのコントロール不可能な創造的精力らしきものに恐れをなすはずだ。
おまけ:ビッグ過ぎるアイディアをけなす方法
アイディアが非常にビッグな場合、あなたは会社のリソース配分について真剣に考えているところを見せるのがよい。
以下のようなフレーズが参考になる。
- ディスラプトしすぎてないか?(Is it too disruptive?)
- ロードマップにはどう収まる?(How does this fit into the roadmap?)
- つまりピボットしろと?(This seems like a pivot.)
- 無理筋というものでは?(Isn’t that a non-starter?)
- それはスコープ外では?(Isn’t that out of scope?)
- それをどうやってテストする?(But how would you test that?)
- それは国際化できる?(Will that work internationally?)
- 「CEOはどう考えるだろう」と言ってみる
同僚に自分がCEOなどのトップと非常に親しいことを印象づける。まず「このアイディアだがCEOはどう思うかな?」と言ってみる。あるいはCEOのファーストネームを親しげに呼ぶ。次に彼/彼女に会ったときこの話題を持ち出してみよう、と言う。CEOが大いに気に入りそうなアイディアを思いついておめでとうと皆を祝福する。 CEOにたいへん近いことを十分にわからせると同僚はあなたをCEO候補の一人ではないかと考えるようになる。
- 「それは正しいプラットフォーム(フレームワーク、モデル)だろうか」と尋ねる
「前進のためのフレームワーク」というような言葉を持ち出すと、同僚より大きなスケールで考えているように見せることができる。「思考のモデル」でもいいし「これをいかにプラットフォーム化するか」でもいい。こういメタ単語は同僚を煙に巻き、自分には何も新しいアイディアがないことを隠すのに効果的だ。
- あるアイディアを皆が気に入りそうだったら、すかさず「よし、それで決まりだ!」と叫ぶ
全員があるアイディアに興奮している、あるいは気に入っているように見えたらこう叫ぶのがよい(原文、Ship it!は「(製品などを)出荷する」の意味)。たしかに多少とっぴな印象を与えるし、笑う人間もいるだろう。しかしあなたはこれによってある種の権威を確立できる。あたかも会議の結論を出したり、ミーティングを終わらせたりする権限が―実際は少しもないのに―あるように見えるのだ。
100 Tricks to Appear Smart in Meetings は10月4日に刊行される。 予約はこちらから。著者のサイト100Tricks.comでも関連記事が読める。
〔日本版〕 上記はもともとユーモア記事だし、日本の現実と直接比較するのは難しい。しかし風刺として笑えるだけでなく、誇張にせよアメリカのテクノロジー企業のミーティング、ブレーンストーミングの雰囲気がうかがえる。例文には原文を残し、日本文はなるべく逐語訳に近いものにした。一部それが難しい場合があり、non-starter(競馬での出走取り消し馬)は「無理筋」としてある。ship itなどについては訳文内に注記した。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)