そう、こいつは本当はかなりクールなやつなんだ。ぼく自身はほんのちょっとしか使ってないからあれだけど、でも、絶対やみつきになる。もっと、ミュージシャンの数が増えれば確実にね。現状では8Stemでリミックスできる音楽のコレクションは、相当少ない。今日ベータを終えたばかりのアプリだから、それも無理ないか。曲、というより、名前を知ってるアーチストも多少いるから、その点は嬉しい。
このサービスを着想したBruce Pavittは、知る人ぞ知る、80年代の中ごろに、その後むちゃくちゃ大きな影響力を発揮したインディーロックのレーベルSub Popを作った人物だ。彼の経歴には必ず載ると思うが、その後、ニルヴァーナやサウンドガーデンを見つけたのは彼だからね。
8Stemはすごく良くできたiOSアプリで、簡単なドラッグ&ドロップ操作でリミックスができる。まず、好きな曲を見つける(ぼくの目には、シアトルのMerge Records傘下のTelekinesisが飛び込んできた)。そしてRemixをクリックする。するとアプリが曲の波形や楽節を分析し、分解する。それからユーザーは、曲の各部を並べ替えたり、ボーカルを入れたり、いろんなミックスを切り替えたり、ディレイを入れたりする。確かに現状はどう見ても、リミックスのためのミュージックエディターとして完全なアプリではないが、でも、けっこういろんな機能を詰め込んでいる。iPhoneのようなちっちゃな画面にしては、ね。
自分が作ったミックスは、保存してあとで再生できる。あるいはこのアプリのSNSにアップロードしてもよい。今のぼくは、いろんなイフェクトをマスターしていないから、大したことはできないが、それでも、リアルタイムで簡単にリミックスできることは楽しい。つまりこのアプリは、ぼくのようなDJ初心者にも、使いやすい。
いちばんおもしろいのは、完成したリミックスをSpotifyやApple Musicなどにアップロードして、それが再生されるとロイヤリティがアーチストに来ることだ。音楽ファンならよく知ってるように、ストリーミングのロイヤリティは一般的に雀の涙だが、でもぼくの思うに、お金はお金だからね。
(しろうと)リミックス・アーチストの報酬といえば、明日(米国時間10/26)このサービスはコンテストを行う。そして入賞作品はシアトルの公共ラジオ局KEXPが放送する。
選べる曲の数がまだ少ない(Dubstepのところには1曲しかない!)が、今後もっとユーザーとファンが増えれば、活発なコミュニティができるだろう。今のところは、ちょっとした楽しいツール、といったところだが。