AI将棋「将棋ウォーズ」やAIチェスの「CHESS HEROZ」といったボードゲーム向けの人工知能ゲームの開発・運用で知られるHEROZは今日、バンダイナムコエンターテインメントとの資本業務提携を発表。HEROZはバンダイナムコを割当先とする第三者増資による資金調達を実施した、という。
バンダイナムコといえば、ガンダム、ドラゴンボール、ワンピース、鉄拳など知的財産を使ったネットワークコンテンツや家庭用・業務用ゲームを数多く展開している。
一方、HEROZはTechCrunch Japanでも過去にお伝えしたことがあるが、AIを使ったユニークなゲームでのマネタイズ方法に成功しているスタートアップ企業だ。将棋AIはすでにプロ棋士が勝てないレベルになっている。そこで、AIを対局相手とは違う目的で利用するニーズをHEROZは掘り起こしている。具体的には対局中の重要な局面において「最良手」をAIがユーザーに有料で教える。そうすることで人間の棋力向上に貢献するのだ。プロ棋士に指南をあおぐようなものだね。
さて、ゲームにAIを適用するというと大きく2つの観点がある。ゲームバランスの調整やマップの作成、自動監視など、ゲームを作り、運営すること自体にAIを使っていくという面。現在、ゲーム開発の現場では、こうした部分を人間の感覚や手作業で行っていることからコストがかさみ、ミスが発生しやすいという問題がある。
もう1つのゲームへのAIの適用はゲーム内キャラクターの創出だ。全体のバランスを考えた上で、キャラクターごとの強弱を決めたり、感情や思考を変化させるようなことが、AIでより柔軟にできるようになるかもしれない。HEROZによれば、性格の違いとして頭脳派、武闘派、参謀派、接待派、暗黒派などさまざまなキャラクター特性を使い分けるような展開があるだろという。ナムコの伝説的アーケードゲーム「パックマン」のお化けキャクターだって、異なる性格のAIだったと言えばAIだったのだろうけど。
任天堂やポケモンが培ってきた知財と、Niantic(Google)の開発力の掛け算で人気が大爆発したポケモンGoのようなヒットゲームが、AI系スタートアップ企業とトップランクのエンタメ企業という組み合わせから誕生してくるかどうか、今後に注目だね。