タクシー配車からツアー予約まで、インバウンド旅行者向け専用アプリ「WAmazing」がローンチ

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500MBの無料SIMで集客

2016年の訪日外国人旅行者は2000万人を超え、さらに政府は2020年までに訪日旅行者を4000万人に押し上げることを目標としている。訪日旅行者関連の市場規模は8兆円になることが推定されている。本日サービス開始したWAmazingは、こうしたインバウンド旅行者向けに提供するアプリだ。このアプリには500MBまでの無料モバイル通信、タクシー配車、日本での旅行ツアーやアクティビティの予約手配と決済ができる機能が揃っている。このアプリでWAmazingは、訪日外国人観光者と国内観光業界とを結びつけるプラットフォームになることを目指すという。

今回、WAmazingは成田空港と連携し、モバイル通信SIMカードの受取機を空港に4台設置する。訪日旅行者は自国でアプリをダウンロードし、会員登録をしておくと、成田空港に着いた時にアプリのQRコードを受取機にかざしてSIMカードを受け取ることができる。500MBまでは無料だが、それ以上使いたい場合はアプリでデータ通信料を追加購入することが可能だ。WAmazingのモバイル通信の機能はソラコムを使っているそうだ。

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サービス開始に合わせてWAmazingは、一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会とチェッカーキャブ無線協同組合とも連携した。WAmazingは東京ハイヤー・タクシー協会が提供するタクシー配車アプリ「スマホdeタッくん」とAPI連携していて、旅行者はWAmazingのアプリからタクシーの配車依頼ができる。都内のおよそ1万2500台のタクシーを呼ぶことができるという。

チェッカーキャブとは観光コンテンツ面で連携し、WAmazingのアプリ内から観光貸切タクシーのツアーを販売する。サービスのローンチ時には東京23区のホテルからスキー場までタクシー送迎するプランを用意した。旅行者はクレジットカードの決済情報を登録しておけば、アプリでの予約手配から、決済まで一括でできる。WAmazingのビジネスモデルは、各種アクティビティへの送客手数料を得る形だ。

WAmazingは本日からアプリ配信を開始し、旅行者は2月1日から成田空港に設置した受取機で無料SIMカードを手に入れることができる。

日本の観光コンテンツと旅行者をマッチング

WAmazingのファウンダーで代表を務める加藤史子氏はリクルート出身で、旅行サイト「じゃらんnet」の立ち上げなどに関わっていた。旅行事業に携わる中で、訪日外国人旅行者は増えているが、観光事業者と旅行客のマッチングができていないために機会損失があると感じていたと話す。これまで日本の旅行代理店は海外の旅行代理店と提携し、訪日旅行客に訴求するケースが多かったが今ではその効果がどれほどあるか分からないと指摘する。「今は個人がモバイルインターネットを使って自分で情報を探す時代です。ITや通信事業と旅行事業を組み合わせることで、産業に大きく貢献できると考えています」と加藤氏は話す。

WAmazingは2016年7月に立ち上がり、2017年1月にクックパッドで執行役CTOを務めた舘野祐一氏が参画した。舘野氏はWAmazingにジョインを決めた理由について、創業メンバー5人が優秀で信頼して働けると感じたこと、そしてサービス開発において技術的なチャレンジがあることを挙げる。また、会社が成功した時の影響力の大きさも魅力に感じていると話す。「プラットフォームにならない限りは、ネットサービスは数年でしぼんでしまいます。WAmazingには外国人観光客、将来的には外国人に限らず日本全体の観光のプラットフォームになれる可能性があります。会社が成功した時の日本に与える影響が大きいと感じています」。

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WAmazingのアプリ画面

最初は香港と台湾の観光客を中心に訴求するため、アプリは中国語(繁体字)のみという。今後、タイやマレーシアなどでも展開していくことや成田空港以外の空港でもSIMカードの受取機を設置することを視野に入れている。WAmazingは旅行ツアーをはじめ、インバウンド旅行者向けの宿泊、飲食、買い物といった多種多様なサービス事業者と連携し、旅行者と国内観光事業者がつながるプラットフォームを目指す。

旅行先で使える無料500MBのデータ通信は確かに魅力的だろう。今後はいかに旅行者がアプリから申し込みたくなるようなツアーを揃えられるかがサービス成長の鍵となりそうだ。

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。