Caavoというスタートアップは、さまざまなスマートボックスや動画ストリーミングサービスをひとまとめにするデバイスを開発している。1500万ドルの資金を調達した同社は、音声操作もできるユニバーサルリモコンとインターフェースを販売しており、ユーザーは複数のサービスをまたいで自分の見たい番組を検索することができる。
Caavoの詳細に入る前に、一旦現状の問題を確認してみよう。まず、テレビ番組やテレビ局、ストリーミングサービス、ストリーミングボックスの数は、今までの比にならないほど増加した。その一方で、コンテンツ数の多さから、見る価値のあるものを見つけるのも、これまでの比にならないほど難しくなっている。
以前にも同じようなことが言われていたが、時間の経過とともに状況は悪化している。
NetflixやAmazonといった、ストリーミングサービスを提供する企業のオリジナルコンテンツの人気が高まる中、ストリーミングボックスやスマートテレビは必須アイテムとなった。しかし、全てのストリーミングボックスから全てのサービスが利用できるわけではないため、自分が見たい番組を見るために、複数のストリーミングをボックスを購入する人もいる。ここにセットトップボックスやデジタルビデオレコーダー、ゲーム機が加わると、あっという間にHDMIポートが埋まってしまう。
しかしこれも、現代のテレビ中毒者にとっては大した問題ではない。入力信号を切り替えて、別のアプリを別のストリーミングボックス上で起動するのにも慣れっこだ。ただ、リモコンまでいちいち交換しないといけないとなると話は変わってくる。
Caavoの登場
Caavoには8つのHDMIポートが準備されており、これならほとんどのテレビ狂のニーズに応えることができるだろう。デバイスをCaavoに接続すると、システムが自動的にそのデバイスがどのストリーミングボックスやゲーム機なのかを認識し、操作画面に追加するようになっている。
さらにユーザーは、利用しているストリーミングサービスや、どのデバイスを通してどのサービスにアクセスしたいかといったことまで(例えばNetflixはXboxで、AmazonはFire TVといった感じで)Caavoに登録することができる。
セットアップが終わったら、ユーザーは音声操作にも対応しているユニバーサルリモコンを使って、視聴したいコンテンツを検索して選べるようになる。再生時にはリモコンに、そのコンテンツを「見る」と伝えるだけでいい。さらに、途中まで見たことのあるコンテンツを選んだ場合は、前回見るのをやめたところから再生されるか、そのコンテンツが視聴できるサービスやアプリが表示されるようになっている。
中立的なアプローチ
Caavoの設立に関わったメンバーは、JawboneやSling、Microsoft Xbox、Harman、Shufflr.tvなどでの数十年にわたる経験を持っており、ハードウェアとメディアサービスの両方に精通している。
もともとCaavoのアイディアは、故Blake Krikorianが考え出したものだった。彼はSling Mediaを通して、プレースシフティング(あるデバイス上のメディアを別の場所にある別のデバイスからアクセスするという手法)のコンセプトをテレビ業界に導入したことで知られている。Krikorianは昨夏に亡くなる前、共同ファウンダーとなるAndrew Einaudi、Ashish Aggarwal、Vinod Gopinathとチームを組み、Caavoを立ち上げた。
段々と細分化していくコンテンツをまとめあげ、ユーザーが素早く簡単に視聴したいものを見つけられるような手段を提供するというのが、彼らのゴールだ。
Caavoはプロダクトの開発にあたり、DCMのJason KrikorianやGreylockのDavid Sze、さらにSkyやHearst Venturesから1500万ドルを調達した。
Blakeと兄弟で、Sling Mediaの設立にも関わっていたJason Krikorianは、全てをまとめあげる「神のボックス」のアイディア自体は以前からあり、彼らもCaavoのようなプロダクトを開発しようとしていたと話す。しかし、それ以後も問題は解決されないばかりか、むしろ悪化していった。
全てのデバイスやコンテンツをまとめ上げるようなものがこれまで誕生しなかった原因のひとつは、全てのメーカーが「入力1」を目指して競いあっているということだ。そこでCaavoの共同ファウンダーたちは、製品を実際に開発する前に、MSO(複数のケーブルテレビを統括する運営会社)や、デバイスメーカー、サービスプロバイダーなどを訪れ、自分たちがどのような方法で、ユーザーが簡単にコンテンツを見つけられるような仕組みを作ろうとしているかについて説明した。
「Caavoは全てのサービスに対して意図的に中立的な立場をとっており、このアプローチがあるからこそ、ユーザーはアクセスしたいコンテンツ全てに、すぐにアクセスできるようになっているんです」とKrikorianは話す。
一方GreylockのSzeにとっては、投資自体2006年のVudu以来、久しぶりのものだった。先述の問題の大きさや複雑さ、さらには以前からどのくらい状況が悪化しているかという背景を知ってから、彼はCaavoが取り組んでいることに興味を持ったと話す。業界の細分化が進んで行く中、SzeはCaavoのようなプロダクトが売れるときが来たと考えている。
「私はタイミングと、利用可能なアプリやコンテンツを配信しているソースの細分化がカギだと考えています。2年前の時点では、AmazonもNetflixもオリジナル番組を作っていませんでしたしね」と彼は語る。
Caavoの値段はリモコン込みで399ドルで、6月からプレオーダーが開始される。まずは5000台限定で販売され、今年の秋頃には最初のユーザーの手元にCaavoが届けられる予定だ。
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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter)