どうやらAppleはiPhoneをインドで現地生産していくようだが、だからといってインド国内の製品価格が下がるという話でもないようだ。
The Economic Timesは、数ヶ月のうちにAppleが印度南西部のカルナータカ州でiPhone SEの生産をスタートさせると本日報じた。今月に入ってから、同州のIT大臣もAppleと生産の合意に至ったとのコメントを残していたが、The Economic Timesの報道にはさらなる詳細が記載されている。
現状インドのiPhoneの価格は、世界で1番高く設定されている。これは、iPhoneが中国で生産されているため、Appleが関税を支払わなければいけないからだと考えられている。そこでAppleは、インド現地でiPhoneを組み立てれば価格を下げられるのではないかと考えた。継続的にスマートフォン市場が成長している数少ない国のひとつであるインドで、Appleは思うようにシェアを伸ばせていないため、これは同社にとって大変重要なことだ。
最近のIDCのレポートによれば、中国メーカーが2016年Q4のインドのスマートフォン市場を席巻し、トップ5に現地メーカーは1社も含まれていなかった(これは初めてのことだった)。一方Appleはこれまでで最多となる250万台をインドに出荷したが、インドのスマートフォン市場における2016年Q4の総出荷台数が2800万台以上だったことを考えると、この数字はとるに足らないものだった。
またAppleが現地生産を開始すれば、すぐに価格が下がると思っている人もいるかもしれないが、実はそうとも言えないようだ。
「通常Appleが急激に価格を下げることはないため、現地生産で浮いたお金は小売網の構築やマーケティングに使われる可能性があります」とCounterpoint Researchでアナリストを務めるNeil Shahは話し、現在インドにはAppleの直営店が1軒もないと指摘する。
「一方でAppleは、お祭りのシーズンに絞って値引きをすることもあります。それでも値引き率はせいぜい4〜5%程度で、12〜13%(現地生産で抑えられるコスト)全てが顧客に還元されることはないと思います」
さらにShahは、Appleはすぐには「台湾や中国のような本格的な生産を行わないでしょう」と話し、当面はリスクを避けるために、四半期ごとの生産台数は40万台以内に落ち着くと彼は考えている。
もちろん彼の言っていることは短期的な話であり、もしもAppleがインドでの生産を拡大しプロセスを効率化できれば、製品価格が下がる可能性もある。現地生産開始はAppleにとってもインドのAppleファンにとっても良いニュースだが、消費者が現地生産の効果を十分に感じるまでには少し時間がかかりそうだ。
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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter)