Mobile World Congressが開幕したが、話題をさらったの基本的に17年前のテクノロジーのデバイスの復活だった。Snake〔ヘビゲーム〕がプレイできるキャンディーバーのような形をしたフィーチャーフォンだ。BlackBerry自身もノスタルジックなKeyOneスマートフォンを発表してモバイル業界の現状に挑戦している。
一見すると奇妙だ。フィーチャーフォンはこれまで本当の意味で「消えた」ことはない。スティーブ・ジョブズがiPhoneを発表したとたんにフィーチャーフォンが全滅したというようなことはない。安いフィーチャーフォンは今でも買える。そうではあっても、今年のMWCではLGが社運を賭けているらしいG6を始め、どのスマートフォンのフラグシップモデルよりもHMDのNokia 3310の方が興奮させる製品だ。
いろいろな意味でLG G6は皮肉な製品となった。同社はプレスカンファレンスでモバイル・デバイスのイノベーションはスペックにあるのではなく使い勝手にあると述べた。しかしG6は新しいアスペクト比と高機能を有し、スペックとしても強力なモデルの一つだったが―もちろんLGは正しい。スマートフォン戦争はあまりにもスペック競走に走り過ぎた。
iPhoneが登場してから10年が過ぎ、モバイル業界は一変した。専門家、一般消費者ともにディスプレイの解像度やピクセル数が改良されるスペック戦争にうんざりし始めたところだ。もちろこうした改良を続けるためにメーカーは10年間苦闘してきたわけだが、その結果がテクノロジーとしていちばん古くさいはずのフィーチャーフォンに新鮮さを感じるようになったとは面白い現象だ。
「スマートフォン疲れ」とでもいうのだろうか? 毎年のアップデートにおける小出しのスペックの改良、各社「右へならえ」のデザインに皆が飽き飽きしてきたということなのだろう。フィーチャーフォンはアメリカならもうすぐ投票権を得られるほどの年齢だが、堅実な製品として復活すれば巨大メーカーのスマートフォンの発表会を日陰に追いやるほどのインパクトがあった。
スマートフォンのユーザーの間にはシンプルなテクノロジーに戻ろうとするノスタルジックなトレンドがあり、Nokia 3310はその最初の例だったのだろう。音楽業界ではこの数年、デジタル音楽に対してレコード盤が復活を遂げているのに似ている。3310への興味はマイナーな改良をいかにも大変なブレークスルーのようにはやしたてるスマートフォン・ビジネスに対する反感の現れだろう。
Nokia 3310が発表した奇妙なデバイスがデモしているヘビゲームは暗示的だ。右に左に激しく動いて巨大化してきたものの最後には自分の尻尾を食いちぎり、スマートフォンのアップグレード競走には一時停止がかかってしまうのかもしれない。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)