スポーツエンターテイメントアプリ「Player!」を運営するookamiは3月10日、IMJ Investment Partners、グリーベンチャーズが運営するファンド、朝日新聞社、個人投資家を引受先とした第三者割当増資を実施したことを明らかにした。金額は非公表だが、数億円前半と見られる。
また同社は、この発表に併せてPlayer!のアップデートを実施。Jリーグ(サッカー)全1040試合とBリーグ(バスケットボール)全1090試合のリアルタイム速報を開始したほか、ニュース機能、ライブチャット機能のリニューアル、おすすめ情報をお知らせするメールマガジン「Player! Magazine 」を開始したという。
スタジアム、テレビに次ぐ観戦スタイルを目指す
Player!はスポーツの試合情報をリアルタイムで閲覧し、興味を持つユーザー同士でコミュニケーションができるライブチャット機能、スポーツ各ジャンルのニュースサイトを閲覧できるニュースリーダーの機能を備えているアプリ。利用は無料だが、Facebookアカウントでのログインが必要となっている。
サービスの開始は2014年9月。ookami代表取締役の尾形太陽氏によると、もともとはスポーツニュースに対してユーザーがコメントをする、いわゆるニュース×コミュニティを軸にしたサービスだったそうだ。しかし、スポーツニュースやコミュニティで先行する巨人、Yahoo!ニュースの存在が大きく、予想以上にユーザーを伸ばせなかった。そこでスポーツの試合内容とそれを元にしたコミュニケーションという「ライブ×コミュニティ」というサービスへとピボットした。
「サービスを運営していく中で、ライブにニーズがあることが少しずつ分かってきて。これまで、ライブはスタジアムに行くか、テレビで見るか。いずれかの方法しかありませんでしたが、スマートフォン上でライブを見ることができ、ユーザー同士でコミュニケーションがとれればスタジアム、テレビに次ぐ新しい観戦スタイルを築いていけるんじゃないか、と思ったんです」(尾形氏)
現在のアプリダウンロード数やKPI等は非公開だが、順調にユーザー数は伸びているそうだ。
今後1〜2年で動画の領域に着手
今回の発表で注目すべきは、ookamiが朝日新聞社から資金を調達している点だろう。その理由について尾形氏はこう語る。
「朝日新聞は甲子園(夏の全国高等学校野球選手権大会)や駅伝(全日本大学駅伝対校選手権大会)など、豊富なスポーツコンテンツを保有しています。ただ、開催しているだけで終わってしまっていて、コンテンツの出し先(となるコミュニティ)がない。一方、自分たちはコンテンツはないけれど出し先はある。一緒にやっていくことでお互いが抱える課題を解決していけると思ったんです。朝日新聞に限らず、今後もこうした事例は生み出していきたい」(尾形氏)
近い将来、甲子園など朝日新聞が主催するスポーツ大会の試合の詳細がPlayer!で楽しめるようになるという。
また、スポーツアプリといえば、スポナビライブや(ローンチ早々トラブルが報じられている)DAZN(ダ・ゾーン)がスタートするなど、スポーツのライブストリーミングが盛り上がりが見せている。以前、TechCrunchの取材に対して、「動画視聴機能の実装も予定している」と語っていたが、直近での予定はあるのだろうか?
尾形氏は「ここ1〜2年くらいで挑戦していきたい」と前置きした上で、「スマートフォンで2時間くらいの試合を見るのは相当コアなスポーツファンのみ。まだまだライブ配信×スマートフォンは一般に浸透していないので、まずはコミュニティの強化やスマートフォン上でしか味わえない体験の提供に注力していきたい」と語った。
ookamiでは今回調達した資金をもとにエンジニア、デザイナーの採用を強化。新しいコミュニケーション機能の開発やサービス運営、グロース体制の整備を進めていくとしている。