エンジニアと案件とを直接結ぶ企業間マッチング「PRO-SESS」運営が1億円を資金調達

システム開発とエンジニアプラットフォーム運営を行うメイプルシステムズは8月7日、エボラブルアジアKLab Venture Partnersが運用するファンド、大和企業投資が運用するファンドを引受先とする第三者割当増資と、金融機関借り入れによる総額1億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

メイプルシステムズは2009年4月の設立。社員は全員エンジニアという体制で、受託開発や客先常駐型のシステムエンジニアリングサービス(SES)を中心に提供してきた会社だ。そのメイプルシステムズが新サービスとして注力しているのが、エンジニアプラットフォーム「PRO-SESS」だ。

エンジニア業界では、急なエンジニア需要に対応するために、企業間でのエンジニア派遣の仕組みとして、SESが利用されてきた。数億円規模などの大きな開発案件では特に、案件の立ち上がりから収束に向けてエンジニア需要の波が大きい。その急な需要に応えるため、エンジニアを紹介する仲介企業が存在しているのだが、業務に必要なスキルがはっきりしなかったり、また紹介先の企業が別の企業へさらにエンジニアを送り込んだり、と透明性に問題があって、建築業界のような多重下請け構造を生んでいる。

メイプルシステムズ代表取締役の望月祐介氏は「PRO-SESSは、仲介企業なしで、エンジニアが所属する企業と顧客企業とを直接結び付ける取り組みだ」と言う。ランサーズクラウドワークスなどのクラウドソーシングとは違い、PRO-SESSでは、フリーランスエンジニアのマッチングは対象ではない。「フリーランスの場合、どうしても在宅や遠隔地でできる案件が中心となる。セキュリティが厳しくて客先オフィス内での開発が必要な仕事や、規模の大きな仕事では、やはり企業所属のエンジニアが求められる」(望月氏)

これまでは、そうした企業所属エンジニアを大規模案件向けにテンポラリで集めるには、仲介業者を通すのが普通だった。PRO-SESSでは、エンジニア所属企業と顧客企業とのBtoBのつながりをオープンプラットフォーム化。顧客側は案件にマッチしたスキルを持つエンジニアがいる企業を探して、検索結果からチャットを使って面談実施、見積書・契約書のやり取りまで、オンラインでシームレスに行うことができる。もちろん、エンジニアをかかえる企業の側が、案件を探すことも可能だ。

PRO-SESSへの登録は無料。メイプルシステムズは、登録ユーザーがプラットフォームを利用してマッチングした場合に、成果報酬型で手数料を受け取る。現在はオープンベータ版としてサービスを公開中で、利用企業を募集中だ。現時点で登録企業は50社、登録エンジニア数は3500名を超えているという。登録企業には、コンシューマー系のゲーム会社、広告代理店、基幹系業務を扱う大企業やウェブ系企業などが顔をそろえる。「上場企業がほとんどで、コンプライアンスを重視する会社が多い。多重下請けや労働環境などでの問題が起きないようにしたい、ということで利用してもらっている」(望月氏)

今回調達した資金について、望月氏は「営業やマーケティング、広報の体制強化を行う」と話している。また今後、案件情報やエンジニア情報をデータベース化し、企業やエンジニアのスコアリングによる情報提供、エンジニアのキャリアプランのコンサルティング、エンジニア教育事業を行う企業との提携など、エンジニアのための事業展開も進める、としている。

写真奥・中央左:メイプルシステムズ代表取締役 望月祐介氏、中央右:取締役CTO 西山大輔氏

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TechCrunch Japan

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