人気YouTuberのインサイダー騒動で揺れる「VALU」、運営元が対応策を発表

YouTuberヒカル氏のVALUページ

個人が株式会社のように自分の価値を「模擬株式」として発行し取引できるサービス「VALU」。2017年5月31日にベータ版が公開されたばかりのサービスだが、当初から様々な観点で話題を集めた。

SNSのフォロワー数や友達数をベースに自分自身の価値が「時価総額」という形で数値化される斬新なアイデアに加え、知名度がない個人がファンを募れる可能性を持つサービスであり、そこに配当や優待という仕組みを組み込んだ点はおもしろいという声が多かったように思う。一方でVALUの発行者が退会した場合にVALUの価値がなくなってしまうリスクや、いわゆるインサイダー取引のような形で悪用されうることなど具体的な懸念点も言及されていた。

そんな状況下において、8月16日人気YouTuberのヒカル氏ら複数のユーザーがまさにインサイダー取引のように思われる行動をとったことで大きな騒動となった。それを受けて17日、運営元のVALUが本件の対応策を発表している。

騒動の発端となったのは8月14日にYouTuberのヒカル氏、ラファエル氏、いっくん氏がTwitter上などでVALUを本格的に運用し始める旨の投稿を行ったこと。多くのファンの期待を集め価格が高騰していたが、翌日15日には3人の株式を保有する井川氏を含む4人が全株式を売りに出した。(ヒカル氏らはVAZが立ち上げた事務所NextStageに所属しており、井川氏はVAZの顧問を務める人物)

一連の行動があらかじめ計画した上で行われたようにも思われたため「インサイダー取引」や「詐欺」にあたるのではないかという批判が殺到。本人たちは期待感を煽って価格を釣り上げたことや、インサイダー取引を否定した上で「自社株買いを行います」と17日に報告した。

運営元のVALUもその意向を受けて利用者保護の観点から、現在の売買注文をすべてキャンセルする特別措置をとることを発表。一連の取引で発生した手数料収入については、VALUと同様のミッションを掲げる組織へ寄付するという(寄付先、寄付金額は現時点では未定)。また取引に関する新たなルール作りを進めていることも明かした。なお現時点では4人のページでは赤帯で「このアカウントの出金を停止しています。」と表示されている。

まだ新しいサービスなだけに当初から課題も多く言及されていたVALU。今回の騒動でも整備が追いついていない印象を受けたが、期待値も高いサービスなだけに今後の対応に注目したい。

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TechCrunch Japan

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