企業の営業を商談締結までガイドするGetAcceptが$1.6Mを調達、アルゴリズムが営業の実践から学ぶ

GetAcceptの協同ファウンダーMathias Thulinは、営業マン/ウーマンが抱え込む問題をよく知っている。すばらしい見込み客に会って商談をする。先日はありがとうございました、とメールでフォローする。返事はない。

そんなお先真っ暗を何度も経験したことのあるThulinと協同ファウンダーのSamir Smajicは、データを分析してうまくいかない営業の原因を見つけようとする。そのために始めたGetAcceptは、営業が自分の文書をよく調べて、商談を締結させるまでの過程をお手伝いする。同社は今日(米国時間9/4)、Amino CapitalとY Combinatorおよびそのほかのエンジェル投資家たちから160万ドルのシード資金を調達した。GetAcceptは、Y Combinatorの2016年の卒業生だ。

“とってもいいですね。担当に話しておきます。詳しい資料を送ってください。来週中にはお返事をさせます。…などと最初の面談で色よい返事をくれるところは多い”、とThulinは語る。“そのあと、闇が訪れる。意思決定者の数が、彼らが最初に考えたよりも多かったのだ。あるいは、彼らがどれだけ本気で関心を持ってくれたのかを、営業が測り損ねていたかもしれない。提案書類を送ってからその後何が起きたのか、その実態を営業は知らない。いろんな会社の営業からのメールや電話は毎日とても多いから、それらを無視したり忘れるのも簡単だ”。

GetAcceptは、締結する商談の多い営業と、多くない営業の違いを調べた。違いはたとえば、商談にプロダクトのデモが含まれているか、チャットボットを利用して他の営業を商談に参加させているか、などにある。営業が顧客企業のほかの部門にもアプローチして、社内の関心を喚起しているやり方もある。Thulinによると、そういったいくつもの‘軽いタッチ’が、成功する商談の鍵になっているが、そのことに気づかない営業が多い。

同社が使っている人工知能は、ディープラーニングによる機械学習のような本格的なものではないが、それでも同社のアルゴリズムは、成功する営業たちのベストプラクティスを学習できる。成功する商談に向かう道の上には、ちょっとした工夫やきっかけがいくつもある。スタンフォード大学の研究室で作られた本格的なAIでなくても、エンタープライズの営業を支援するスタートアップは、営業の成功や失敗の具体例から学ぶ姿勢が絶対的に必要だ。

“商談を前進させる引き金となるものを、見つけたい”、とSmajicは語る。“営業が商談を前進させることができる理由は、非常にさまざまだ。見込み客が、たとえば渡した文書を24時間放置していたら、そこにある問題に対応すべきだ。その商談の担当者を社内のほかの人に変えたために、検討が遅れることもある。汎用のツールだからだめか、と思っていたら、まさにそのとおりだったこともある”。

GetAcceptの主要プロダクトでもある電子署名は、DocuSignなど強力な競合他社がいる。また営業支援のCRMスタートアップには、GongAttachなどの先輩がいる。でも同社の強みのひとつは、電子署名の営業活動から、営業の実践についていろいろ学び、それらを営業支援サービスに活用できることだ。しかしかなりの地歩を確立している先輩企業たちに比べると、同社はまだまだこれからだけどね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

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TechCrunch Japan

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