先週、500 StartupsのPreMoneyカンファレンスで、Y CombinatorのPaul Grahamが講演を行い、シリーズA投資の新しいやり方を提案した。Grahamは、革新的な初期段階投資家が差別化するためのアイデアをいくつか提示した。要するにこういうことだ:早く動け、株の取り分を増やすために過剰投資するな。
「資金調達プロセスで投資家が理解していない最大の問題の一つは、スタートアップが彼らと話すことに膨大なコストがかかっていることだ。ファウンダーしかいないスタートアップでは特にそうだ。資金調達の期間中はすべてが停止してしまう」とGrahamは語った。
Grahamによると、このため投資家には初期段階投資でもっと早く動くことによって競争を制するチャンスがあるという。もし信頼ある投資家が、24時間以内に10万ドル投資できれば、最高のスタートアップを買い占められるだろう、と彼は言った。そのVCは最悪のスタートアップたちからもアプローチされることになるが、少なくとも全部を見ることができる、とGrahamは言った。対照的に、投資に時間がかかることで知られる投資家たちは、最後にアプローチされる。
VC会社が差別化をはかるもう一つの方法は、シリーズA投資で通常要求する20%という株式比率を忘れることだ。資金調達において、VCは多くを投資しすぎ、スタートアップは多くを要求しすぎるが、もし誰かが結束を乱して投資額を減らし、但し要求株数も減らせばこれが変わるかもしれない。
「私が思うに、VCにとって最大の危険で、かつ最大のチャンスでもあるのがシリーズA投資だ。今現在VCは、訳知り顔でシリーズAに過剰投資している」とGrahamは言った。
取引の競争が激しくなると、変動する数字はVCが獲得する株数ではなく、投資する金額、即ち会社の評価額になっている。最も有望なスタートアップの場合、シリーズAの投資家は、会社が調達したい金額以上を受け取ることを強要している、とGrahamは言った。
「VCの中にはスタートアップにその金額が必要だと嘘をつくところもある。あるいはもっと率直に、自分たちのビジネスモデルでは株の一定パーセンテージ以上を保有する必要があると認めるところもあるが、今投資されている金額はスタートアップが必要としている額で決まっていないことは誰もが知っている」と彼は言った。
かつてのスタートアップは、資金を得るために株式のかなりの部分を差し出す必要があったが、そんな時代は終った。それを念頭にGrahamは、最初に結束を破りファウンダーが売りたいと考える株数に応じたシリーズA投資を行うVCが、多大な恩恵を受けると考えている。
「もし、ファウンダーが売りたがっている株数でシリーズAラウンドを行う意志を持った、信頼ある一流VC会社がいれば、すぐに最高のスタートアップを殆ど獲得できるだろう」とGrahamは言った。「そしてその最高のスタートアップたちこそが金のある場所だ」。
上のビデオで私は、この理論について、およびY Combinatorがどうやってスケールアップしてきたのかを尋ねた(5:30あたりにスキップすると、株式構造変更に関する彼の考えが聞ける)。
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(翻訳:Nob Takahashi)