ICO(initial coin offerings)が、仮想通貨(cryptocurrency)ネットワークを通じて広範囲の投資家たちから資金を調達するための、新しいルートとして浮上している。そして現在、世界最大にして最も有名なアクセラレーターが仮想通貨ネットワークとブロックチェーンを使って、より多くの人びとが支援に参加しやすくすることを検討している。
Disruptの壇上で、アクセラレーターY Combinatorの代表であるSam Altmanは「私たちは、Y Combinatorのような企業が、ブロックチェーンを使って投資へのアクセスを、どう民主化できるのかに興味があります」と語った。「私たちはそれがどのようなものかをしっかりと見極める必要があるのです」。
とある情報源によれば、YCは実際にはそれよりも少し先に進んでいるということだ。デジタル通貨の世界へと飛び込むベンチャーグループの数が増えていることを受けて、同グループも投資家の母集団を拡大するために、仮想通貨を利用する方法を積極的に検討している。情報筋によると、まだ法的事項やその他の詳細が検討されている段階ということだ。
サンフランシスコで開催されたTechCrunch Disruptカンファレンスで、Altmanは現在のハイテク業界におけるICOの役割についての、さまざまな図を描いてみせた。その全てがバラ色というわけではない。
AltmanはICOの働きについて、まだ解決されていない課題が沢山あることを強調した。その中には透明性、合法性、そして効率性などに関わるものも含まれている。これらを非常に強い誇大宣伝の流れが相殺しようとしている。
「現在のICOは間違いなくバブルだと思います」と彼は言う。「しかしそこに何かが横たわっているために、スマートな人たちが魅了されているのです」。
そして彼はまた、政府がICOの運用に、より積極的に関与すべき理由を説明した。
「ICOを馬鹿げた屑のようなものだと思っているか、と聞かれたら、はい、もちろんと答えます」と彼は続けた。「しかしそこには、わずかながら重要なものはありますし、そしてブロックチェーンはさらに重要です…ICOは規制を受ける必要があるのです」。
Altmanの主導の下にほぼ指数関数的成長をしているにもかかわらず、YCはさらに大きな運用規模を目指す大いなる野心を抱いている。そんな彼らにとって、はるかに広い支援者たちに、YCを開放する可能性がある新たな投資形式を利用するという考えは、特に大きな変化だと考えられる必要はない。
同時に、それは初めて「認定」されていない投資家たちと一緒に働くことを意味する。すなわち富裕層の一般投資家たちが相手ということだ。これがAltmanにアピールするものの1つだ。
これまでY Combinatorは、世界で最も選り抜きの成功したスタートアップ企業たちと協力してきただけではなく、最も成功したベンチャーキャピタルや初期投資家たちとも協業してきた。そこにはSequoia Capital、SV Angel、そしてYuri Milner of DSTなどの名が含まれている。
一方YCは、アクセラレーター活動を継続的に強化し続けている。その中心的なYCプログラムに加えて、YCは、後期ステージ向けのY Continuity Fundを通じて、スタートアップを成熟させることにも焦点を当て始めた。また10週間にわたるオンラインのスタートアップスクールも運営している。そこでは一度に3000のスタートアップとの接触を保っている、とAltmanは語った。
それでもなお、Altmanはさらに多くのスタートアップを支援するという野心を持っており、スタートアップたちへのアクセスを広げたいと考えている。ステージ上で、昨年野心として口にしていたYCのサイズを倍にする計画はあるのか、と問われたAltmanは、微笑んでこう答えた「昨年の私たちはもっと野心的でしたね…ともあれ、もっと多くのスタートアップを興し、本当に彼らを支援する方法を見つけることができると考えています」。
ICOの魅力を、Altmanはこう付け加えた「人びとは、友人たちが本当にリッチになるのを見ていて、それが彼らを欲求不満にし、自分もリッチになりたいという気持ちにさせるのです」。
「シリコンバレーで私を悩ませている傾向の1つは」と彼は続けた「多くの人びとにとって、富を生み出すことがますます不可能になってきているということです。そして富の偏在が甚だしい現状は、とても悪いことだと考えています。もし新しいテクノロジーが、この富の偏在の民主化を、現実的に可能にできるのならば、それは本当に素晴らしいことだと思います」。
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(翻訳:Sako)