Imverseの革新的な複合現実技術によって、あなたは仮想現実内の登場人物となる

もしVR(仮想現実)内で見下ろしたときに、自分の本当の腕や脚が見えたらどうだろう?あるいは、まるでヘッドセットを着用していないかのように、他の人や物体を見ることができたとしたら?

Imverseのチームは、この素晴らしいテクノロジーの開発に、スイスとスペインの大学で5年を費やした。共同創業者のJavier Bello Ruizは「私たちはOculusが生まれる前から、この仕事に取り組んでいました」と語る。そして、そのリアルタイムMR(複合現実)エンジンが、今月のサンダンス映画祭でデビューを飾った。

Imverseの技術は、VRをもっと迫真に近付け、馴染みやすいものにする ―― それは、多くの消費者たちにヘッドセットを買ってもらいたいと願う業界にとって、重要なことだ。同スタートアップは、UnityやUnrealのような、開発のための基盤ソフトウェアプラットフォームになりたいと考えている。しかし、たとえその商業化がうまくいかなくても、VRを手がける大企業の1つがおそらくImverseの技術を喜んで買うことだろう。

以下は、サンダンス2018におけるImverseのMRエンジンのデモビデオだ。

確かに、ピクセル化しているところがあるし、エッジは粗くレンダリングされたイメージが不正確な場合もあるが、それでもImverseは、自分の実際の身体がVRの中にあるような感覚を与えることができる。さらには他の物体もレンダリングすることも可能で、例えばVRヘッドセットを装着したRuizは、装着していない私と握手を交わすことができる。このことは、リビングルームを、他の人やものにぶつからないように共有する必要のある家庭へ、VRを持ち込む際に重宝するだろう。特にヘッドセットとヘッドホンを装着した人の注意を誰かが惹きたいときには便利だ。

リアルタイムレンダリングで構築された最初の作品はElastic Timeだ、これを使うと利用者は小さなブラックホールで遊ぶことができる。ブラックホールを手元に引き寄せると、自分の手足が歪んで深みに吸い込まれて行くところを見ることになる。空間と時間の現象について話す録画済の教授に向かってそれを投げつければ、その映像と声がワープする。そして幻想的なフィナーレとして、自分が自分の体から離れ、自分の体がブラックホールに吸い込まれ、再び吐き出される様子を、第三者として見ることが可能だ。

「このコラボレーションはスイスの認知神経科学研究所での、常任期間の最中に生まれました」と語るのは、このプロジェクトを担当したアーティストのMark Boulosだ。「彼らは実験や神経補綴(neuroprosthesis:脳が発する信号を受信して利用すること)に使う技術を開発しました」。

Imverseの体積測定エンジンは、利用者の位置を検知すると同時に、利用者の姿勢も把握して、VRの中に表示できるようにする。

微小流体を使った触覚手袋が、仮想オブジェクトや熱を感じさせたり、レクイエム・フォー・ア・ドリームの監督であるダーレン・アロノフスキーが、サイケデリックな銀河への旅”Spheres”を展示したり、サンダンスにはVRファンを驚かせるものが他にも沢山あった。それでも私を捕えたのはImverseだった。それは、すべてのVR体験とガジェットが熱望している、新しいレベルの表現を実現している。VR内で自分の肌や服を実際に見られることは、単に自分の位置を示す浮遊するハンドコントローラーやトラッカーに比べて、はるかに大きな前進だ。 利用者は身体を持たない頭部のようではなく、完全な人間のように感じる。

だからこそ、Imverseチームのコアメンバーがわずか4人であり、これまでに40万ドルを調達しただけということがとても印象的なのだ。CTOのRobin Mangeは体積測定レンダリングを12年にわたり研究してきたという、大きなアドバンテージを持っている。Ruizによれば、Imverseの技術は「おそらく彼が作った5番目または6番目のグラフィックスエンジン」であり、Mangeはずっと神経学的な実験のために、神経補綴環境の構築を続けてきたが、その中に自分自身の身体の知覚を加えることを望んでいたのだという。

現在Imverseは、ロサンゼルス(そこではEmblematic Groupのようなコンテンツスタジオと共同作業をしている)でのプレゼンスを高めるために、シリーズAによる数百万ドルの資金調達を行っている最中だ。Ruizによれば、それによって同スタートアップの主な課題の1つが解決する言う。なにしろスイスでは「まずVRが重要であることを皆に納得させる必要があり、その後私たちのテクノロジーがさらに優れていることを示さなければならないからです」。

そうしている間にも、ImverseはLiveMakerを開発している。Ruizaはそれを「VRのためのPhotoshop」と呼んでいる。浮遊するツールボックスを使って、ヘッドセットを被ったまま仮想体験を作成編集できるというツールだ。彼は、映画スタジオはVR映画を制作するためにこれを使うことができると言う、しかしそれはまた、マーケティング担当者、不動産会社、さらには数学的シミュレーションをも助けることも可能なのだ。Imverseの以前の事例では、1枚の360度撮影の写真を、探検や編集が可能なVR空間モデルに変えることができていた。

Imverseの “LiveMaker”は、VRのためのPhotoshopのようなものだ

Imverseにとって、その複合現実感エンジンをよりクリアなものにして、不安定さを取り除く余地はまだ大いにある。ゆらめくピクセルは、まるで無計画に自分が切り取られ、VRの中に捕まってしまったような気分にもさせる。それでもそれは、私が完全な作り物の中にいるのではなく、まるで身体ごと、別の実世界の中に飛び込んだようなような気持ちにもさせてくれた。これは感情移入マシンとして運命付けられたVRにとっての鍵となることだろう。そこでは他者の人生を自分の肌で感じることで、他者の視点を自分のものとすることができるのだ。

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(翻訳:sako)

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TechCrunch Japan

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