ファッションECサイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイが、採寸用ボディースーツ「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」の無料配布とプライベートブランド(PB)「ZOZO」の立ち上げを発表したのは、昨年11月のことだった。しかし、ZOZOSUITには予約が殺到。生産量が足りなくなって、2017年内の配送ができず、PBスタートも延期となっていた。
そして今日(1月31日)ついに、満を持して、ZOZOの商品が販売開始となった。ZOZOでは、体の寸法を瞬時に採寸できる、伸縮センサーが内蔵された上下セットの採寸ボディースーツ、ZOZOSUITで計測したデータから、一人ひとりの体型に合わせた服をオーダーメイド式で製造・販売する。
生産が遅れていたZOZOSUITについても、1月31日から随時配送が始まる。ただし11月中に予約した人で最大6ヶ月、12月以降に予約した場合は最大8ヶ月程度待つ可能性があるそうだ。
ZOZOブランドの商品は、クルーネックTシャツやデニムパンツなどのベーシックアイテム。これまで、着心地と見た目のシルエットの両面で満足できるアイテムの研究開発を進めてきたという。特に商品開発においては、あらゆる体型を考慮して、1タイプで数千から数万種類にもなるサイズパターンを作成し、それを高品質・短納期・低価格で製造するために、生産プロセスのIT化や自動化を図り、オーダーメイド注文に対応するための生産ラインを整えたということだ。
また、通常のオーダーメイドでは納期に数週間から数カ月かかるところを、体型データと需要をあらかじめ分析することで、高需要が見込まれる特定のサイズパターンについて一定量の在庫を抱え、注文後すぐに届けられるようにしていく。アイテムにもよるが、即日から約2週間以内での納品を目指す。
ZOZOSUITで計測した体型データは、ZOZOだけの利用で終わるわけではない。ZOZOTOWN内の他の商品についても、自分に合うサイズのアイテムが検索できる新機能「自分サイズ検索」が導入された。
自分に合ったサイズの商品のみを表示させることができるので、カテゴリやブランドからの検索では膨大な数のアイテムの中で埋もれていた商品やブランドとの出会いが期待できるという。
スタートトゥデイは同日、ファッションを科学的に解明するプロジェクトチーム「スタートトゥデイ研究所」も発足させている。2017年10月にスタートトゥデイが買収した、VASILY代表取締役の金山裕樹氏が研究所のプロジェクトリーダーを務める。
スタートトゥデイグループが保有する情報資産には、約3000万件のブランド公式商品データや、約1000万件のコーディネートデータ、約2300万人のユーザー情報、年間約3000万件の物流関連データなどがあり、さらに今後、ZOZOSUITで体型データも蓄積されていく。
「ファッションを数値化する」をミッションにうたう、この研究所では、これらの既存データや体型データを使って、「“美しい、カッコいい、かわいい”ファッションとはいったい何なのかを科学的に解明する」という。
また、このミッションに賛同し、AIや暗号化技術、ビッグデータ、AR/MR/VR、ロボット工学などの技術分野でともに研究を行う研究者やエンジニア、企業を研究所では募集しているそうだ。
TechCrunch Japanでは、一連の発表について、スタートトゥデイ代表取締役社長の前澤友作氏とVASILYの金山氏にインタビューを行っている。PB構想、ZOZOSUIT開発の裏側や研究所の狙いについて詳しく聞いているので、そちらもぜひ読んでみてほしい。