「当社のSEO施策は安全です」は本当か?


某有名SEO会社であるがWebからの申込時に危険性をでかでかと表示している。
こういうインフォメーションを行う会社は非常に良心的だと思う。

問題は、

「当社のSEO施策は安全です」

と言い切るSEO業者である。
実際に業者による安全なSEO施策というものは存在しないわけではないのだが、専門家ではない限り安全性を判断するのは難しい。

今回の記事は、SEOの専門家ではなくても、ある程度業者のセールストークの中から危険を察知し、回避できるようにするためのものである。

当該SEO業者はGoogleのガイドラインに対してどう考えているか?
技術はどのレベルにあるか?ということによって危険性は変わってくる。

危険性には4つのレベルがある

  1. Googleのガイドライン違反を全く冒さない
  2. Googleのガイドライン違反を行うが、警告を受けた場合の対応策がある
  3. Googleのガイドライン違反を行うが、違反であることを極力隠す
  4. Googleのガイドライン違反を行うし、違反であることを隠しもしない

という4つだ。
いわゆる普通のSEO業者によるSEO業者施策は上記の2~4のいずれかに該当する。
では上のレベルから順番に説明することにしよう。

1.Googleのガイドライン違反を全く冒さない

ガイドライン違反を冒さずに、いかに検索エンジンからの評価を高めるかに焦点を当てている業者である。
このような業者は少ない。
コンサルティング型の業者が多く、サイト内部の改善・外部リンクの精査・ナチュラルリンクを集めるための企画運営といった手間のかかる業務を行う。
成果達成基準といったものはたいていは設定されておらず、月額数十万円~といった固定料金がかかり大体において高額である。

2.Googleのガイドライン違反を行うが、警告を受けた場合の対応策がある

多くのSEO業者にとって今現在時点において、現実的に実現可能な対応である。

不自然なリンクの警告がGoogleから送られてきた。
特定キーワードでの検索順位が大きく下落した。

といったような状況になった場合に、

  • 外部リンクをすべて剥がすことができるように準備しておく。
  • リンクはクライアントのトップページには張らずに、特定の下層ページに張ってあり当該ページのURLを変更するだけで全てリンクを無効化できるようにする。
  • クライアントのサイトに直接リンクを張らずに、SEO業者が制作した少数のサテライトサイトに多数のリンクを集めて、このサテライトサイトからリンクをする。
    といったクッションを設けた2段階の人工リンクを用意する。
    クライアントがペナルティを受ける可能性は大きく減少し、また最悪のケースでもサテライトサイトからのリンクを取れば回避できる。

主に上記の3つのうちのいずれかの対応策をあらかじめ講じておく。
施策にかかるコストが上昇するため、提供価格が高くなることもあるが比較的安心できる施策である。

それでもリスクがないわけでもないことを明記しておきたい。
リスクは3つあり、リスクの及ぼす影響の高い順番に列挙してみる。

  1. 当該SEO業者の施策だけでなく他にもGoogleのガイドライン違反を疑われる施策を行なっていた場合が大きな問題が生じる。
    ペナルティはコップの水が溢れるのと同じである。
    小さなガイドライン違反であっても積み重ねることによって、ある一定ラインを超えると発動するケースが多い。
    当該SEO業者の施策が原因で一定ラインを超えてしまったという場合は、当該SEO業者のリンクを剥がすだけでは元に戻らないかも知れない。
  2. 当該SEO業者が施策前に戻しても完全に評価が元に戻らない可能性がある。
    施策前の検索エンジンからの評価が10だったとすると、ペナルティを受けて2になり、施策前に戻して再審査リクエストを行なった後、8に戻るというような感じである。
  3. 一時的な評価の下落は避けられない。
    再審査リクエストによって評価が戻ったとしても、その間の1・2ヶ月程度の期間は評価が下落したままである。
    その時期が繁忙期と重なったりすると、ビジネスチャンスを逃してしまうかもしれない。
    例えば、タラバガニを通販で売っているサイトであれば、11月12月が評価が下がったままだと、お歳暮という最大の販売チャンスを失ってしまう。

とは言え、これらのリスクがあることを勘案して、それでもそのSEO業者に施策を依頼するという選択肢は、倫理的な問題はともかくおいておけばビジネス的にはありだ。
ビジネスにはどのような選択肢にも全てリスクがある。

何もしないという消極的な選択肢にも、ビジネスチャンスをものに出来ないリスクがある。

結局どの選択肢をとってもリスクがあるのだから、

リスクとメリットを勘案して最も望ましい選択肢

をSEO業者と一緒に判断してクライアントの責任において実施するのはありだろう。
リスクとメリットについて誠実に判断してくれるSEO業者であれば、付き合う価値があると私は思う。

3.Googleのガイドライン違反を行うが、違反であることをGoolgeに極力隠す

こういうSEO業者も数多くある。
というか、非常に多いといったほうがいいかもしれない。
このような業者の言い分はこんな感じだ。

「当社ではサーバーを多数持ち、IPを分散させているので大丈夫です。」
「高品質なリンクなので大丈夫です。」
「オーソリティの高いサイトからリンクされるので大丈夫です。」

いろいろなバラエティがあるがだいたいこんな感じだろう。
まあ、これらの言い分を鵜呑みにしてはいけない。

「大丈夫です。」

って言っている時点ですでに大丈夫ではない。
前述のような大丈夫の根拠も言うなれば「無根拠」と同義語である。

飲酒運転を常にする人がいて、その人にそんなのは危ないから止めろよ。
と注意をした時に、

「大丈夫だよ。俺はね、ビール2本ぐらいじゃ全然酔わないの。だからへーきへーき。」

っていうぐらいの根拠だ。何が平気なのかさっぱり分からないが、前述のようなSEO業者の言い分もどうして大丈夫なのか意味がわからない。
素人を騙せればいいっていうことだろう。
大丈夫というSEO業者は疑えってことだ。

4.Googleのガイドライン違反を行うし、違反であることを隠しもしない

こういうSEO業者もある。

「Googleなんてしょせん私企業なわけじゃないですか。何でそんなところの定めたルールに従わなくっちゃいけないんですか?」

って言い切ったり。

「大丈夫大丈夫、Googleはそんなに賢くないしわかんないんですよ。気にする必要なんてないです。」

このようなことはありえないし、危険この上ないので関わりあいになってはいけない。


まとめてみよう。

SEO業者の言う安全にはレベルが4つある。

全くリスクを冒さない1番だけは本当に安全である。
2番の業者はクライアントに対して誠実であり、かつ回復可能な策を講じているためまあ安全と言っていい。
3番と4番は安全ではない。
それにもかかわらず、SEO業者が安全だと強弁するならば、危険であることを隠しており不誠実で危険以外の何物でもないのである。