低価格で導入できる後付型ホームセキュリティシステム「leafee(リーフィー)」を提供するStroboは3月15日、CROOZ VENTURES、Skyland Ventures、日本政策金融公庫、ほか複数名の個人投資家を引受先とする第三者割当増資を実施した。調達総額は1億5000万円だ。また、同社は賃貸管理会社向けの新サービス「Roomio(ルーミオ)」も併せて発表している。
leafeeは、賃貸物件にも後付で導入できるホームセキュリティデバイスだ。42mm×42mmの小型デバイスをドアや窓などに貼り付けるだけで、スマホから扉の開閉状態を調べることができる。本体デバイスは専用のセンサーとセットになっていて、本体とセンサーが離れると扉が「空いている」と認識する仕組みだ。本体価格2580円という手頃な価格や導入の容易さがleafeeの特徴だ。現時点での販売台数は約1万台だという。
そして、Stroboが今回新たに発表したのが賃貸管理会社向けのスマートホームアプリ開発・運営プラットフォームのRoomioだ。管理会社は同サービスを利用して、入居者に提供する専用アプリを開発することができる。そのアプリにはleafeeのスマートホームセキュリティ機能が内蔵されているだけでなく、入居者が管理会社にチャットで問い合わせできる機能、入居者への情報提供機能などを備えることが可能だ。
特徴的なのは、Roomioで作るアプリは管理会社のオリジナルブランドとして提供ができる点だ。ホワイトレーベルアプリとでも呼ぶべきだろうか。アプリの大枠はすでに用意されているので、管理会社はアプリ名、アイコン素材、ナビゲーションバーに使う素材などを用意するだけで簡単にアプリを開発可能だ。
ホワイトレーベルというモデルを採用した理由について、Strobo代表取締役の業天亮人氏は「特に地方の管理会社は、賃貸管理業とは別にジムなどを運営しているところが多い。そういった企業へのヒアリングから、自社のブランディングのために独自プランドでアプリを提供したいというニーズがあることが分かった」と話す。
Roomioのような入居者向けアプリと、leafeeのようなホームセキュリティアプリの相性はとても良い。たしかに、特に単身者だと日中電話するのは難しいのでチャットで問い合わせできるのは便利だし、紙の回覧板が不要になる機能は便利だ。でも、賃貸に住んでいる読者なら分かると思うけれど、管理会社に問い合わせるのは1年に1回あるかどうかのこと。必要になる頻度を考えると、僕はわざわざそのためにアプリをダウンロードしようとは思わない。僕のように、プッシュ通知がはっきり言って“うざったい”のでオフにしてしまうというユーザーも多いだろう。
だから、管理会社が単体で入居者向けアプリを提供しようとしても、その普及は難しいのではないかと僕は思う。
でも、そのアプリにleafeeのホームセキュリティ機能が搭載されているとしたら話は別だ。leafeeのユーザーはドアの開閉状態をリアルタイムで知りたいという人たちなので、基本的にアプリからの通知を遮断することはない。業天氏によれば、「ほぼ100%に近い」ユーザーがleafeeの通知を許可しているという。普通であればわずらわしいと感じてしまう通知も、セキュリティのためだから切れないということなのだろう。そのような特徴があるので、管理会社はアプリを通した情報提供がしやすくなる。
また、チャット問い合わせ機能自体は便利なものだから、管理会社に連絡する頻度がたとえ低くても、その機能がホームセキュリティアプリに”おまけ”として付いているならユーザーは嬉しい。一方、チャット問い合わせ機能は管理会社にとっても大きなメリットを与える。問い合わせる側にとっては1年に1回のことかもしれないけど、問い合わせを受ける側は1日に何度も対応しなければいけない業務なのだ。
紙の回覧板が不要で、チャットで問い合わせに対応できれば管理会社の業務負担は大幅に短縮できる。もちろん、そのためにはユーザーがそのアプリを本当の意味で利用してくれることが必要だけれど、Stroboと手を組めばその可能性も高くなる。それを考えれば、管理会社にとってRoomioの導入は非常に魅力的に感じるのではないのだろうか。
Roomioの導入料金は管理戸数に応じて変動する。具体的な料金は非公開だが、1戸あたり数百円という価格帯で「個人がleafeeを導入するより安い価格」(業天氏)で提供する。業天氏によれば、現時点ですでに約10社の管理会社への導入が決定しているという。
Stroboは2015年2月の創業。同社はこれまでに複数回の資金調達を実施しており、今回のラウンドを含む累計調達金額は約2億5000万円となる。